インタプリタかなくぎ流

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フィンランド語 56 …受動態現在形

新型コロナウイルスの影響で二回ほど休講になったあと、ようやく授業が再開されました。「クラスター感染」を防ぐ意味からは、①小さな教室内で、②先生と生徒が密集して、③近距離で会話するのはどうかとも思いましたが……。一応学校の判断で、教室のドアは開け放したまま、先生もマスクをつけて授業という形が取られていました。

新しい文法事項として「受動態」を学びました。受動態というと「〜される」という中国語や英語などのアレを思い浮かべますが、フィンランド語の受動態はかなり守備範囲が広く、かつ話し言葉で多用される重要な表現なのだそうです。今回は受動態の現在形を学びました。ということは過去形や完了形などにもこの受動態があるということですかね。ともあれ、今回学んだ受動態は以下の三パターンです。

1.不定人称(主語が定まっていない文での動詞の形)

Suomessa puhutaan suomea.
フィンランドではフィンランド語を話します。

これを「フィンランドではフィンランド語が話されます」と「受動態っぽく」訳してもよいのですが、先生によればこれは「〜される」というよりも、単に事実を述べていると解釈したほうがよいそうです。「puhua(話す)」という動詞が「puhutaan」になっていて、これが受動態現在形です。

2.「〜しましょう」

Puhutaan suomea.
フィンランド語を話しましょう。

動詞の受動態を先頭に置くと「〜しましょう」という呼びかけになるそうです。

3.話し言葉

(Me) puhumme suomea.
私たちはフィンランド語を話します。
Me puhutaan suomea.
私たちはフィンランド語を話します。

上はこれまで学んできた普通の文章で、動詞が一人称複数の形になっているので、主語の「Me」は省略できます。下は話し言葉での表現で、会話の場合は圧倒的にこちらが使われるそうです。本来は話し言葉なので、こうやって記述すること自体が矛盾していますが、先生によると、最近のスマホでのチャットなどでは使われる(書かれる)のだとか。1.の文頭にある「Suomessa」やこの3.の文頭にある「Me」はいずれも省略できません。省略すると2.の「〜しましょう」という意味になってしまうからです。

動詞を受動態現在形にするのは比較的簡単です。動詞の語尾が「vAタイプ」かそれ以外に分け、それぞれ以下のように作ります。

● vAタイプ

nukkua(眠る)→ nukutaan
① Minä(一人称単数)の形にする→「nukun」
② 最後の「n」を取って、単語に「a,o,u」が含まれていれば「taan」を、含まれていなければ「tään」をつける。
③「taan/tään」の前が「a/ä」なら「e」にする(それ以外ならそのまま。「nukkua」の場合はそのまま)。

ottaa(取る・もらう・拾う)→ otetaan
① Minä(一人称単数)の形にする→「otan」
② 最後の「n」を取って、単語に「a,o,u」が含まれていれば「taan」を、含まれていなければ「tään」をつける。
③「taan/tään」の前が「a/ä」なら「e」にする(それ以外ならそのまま。「ottaa」の場合は「e」に変化)。

●それ以外

単に動詞の最後をのばして「n」をつけるだけ。kptの変化もなし。簡単です。
syödä(食べる)→ syödään
ajatella(考える)→ ajatellaan
tykätä(好む)→ tykätään
nousta(上がる)→ noustaan

受動態現在形の否定は、すべて「ei」を使います。そのうえで動詞の最後についている「an/än」を取ります。つまり……
nukutaan → ei nukuta
otetaan → ei oteta
syödä → ei syödä
ajatella → ei ajatella
tykätä → ei tykätä
nousta → ei nousta

こうしてみると、vA以外の動詞では、「ei + 動詞の原形」になっちゃうんですね。これは後々読解などをするときに混乱して誤読しそうです。

こうしたことを学んだ上で、授業ではいくつか作文練習をしました。

私はこの本を読みます。
Minä luen tämän kirjan.(主語と動詞が連動していて「この一冊の本」なので、目的語は単数対格)
日本ではこの本が読まれています。
Japanissa luetään tämä kirja.(主語と動詞が連動していないので、目的語は単数主格=原形)

私はこの本を読みません。
Minä en lue tätä kirjaa.(否定文なので、目的語は単数分格)
日本ではこの本を読みません(読まれていません)。
Japanissa ei luetä tätä kirjaa.(否定文なので、目的語は単数分格)

この本を読みましょう。
Luetään tämä kirja.(主語なし=主語と動詞が連動していないので、目的語は単数主格=原形)
この本を読まないでおきましょう。
Ei luetä tätä kirjaa.(否定文なので、目的語は単数分格)

私たちはこの本を読みます(書き言葉)。
(Me) luemme tämän kirjan.(主語と動詞が連動しているので、目的語は単数対格)
私たちはこの本を読みます(話し言葉)。
Me luetään tämän kirjan.(主語と動詞が連動しているので、目的語は単数対格)

私たちは二週間後にフィンランドを訪れます(書き言葉)。
(Me) käymme Suomessa kahden viikon kuluttua.
私たちは二週間後にフィンランドを訪れます(話し言葉)。
Me käydään Suomessa kahden viikon kuluttua.

私たちは日本人です(書き言葉)。
(Me) olemme Japanilaisia.
私たちは日本人です(話し言葉)。
Me ollaan Japanilaisia.

今回クラスメートとこの作文をしていて、これまであやふやだった目的語の格について少し整理されてきたような気がしました。

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Japanissa syödään riisia.