インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

フィンランド語 63 …現在分詞

教科書は新しい課に入って、分詞を学び始めました。先生によると、分詞とは「動詞を形容詞化」するものと考えることができるそうです。これまでに過去分詞だけは学んだことがありますが、実はフィンランド語には全部で五種類の分詞があるとのこと。

現在分詞:「〜する〜」「(今)〜している〜」
過去分詞:「〜した〜」「(過去から)〜している〜」
受動態現在分詞:「〜される〜」「〜すべき〜」「〜できる〜」
受動態過去分詞:「〜された〜」「〜済みの〜」
動作主分詞:「〜が〜する〜」「〜が〜した〜」

う〜ん、これだけ見ても何のことやらよく分かりませんが、先生によると、例えば過去分詞はすでに起こったことを叙述するので新聞記事などによく使われ、また受動態過去分詞は「〜済みの〜」を表すことから何かの処置をされた後の状態、例えば「ゆでられた卵→ゆで卵」のように日本語なら名詞で表現されるものにもよく使われると。

参考書によれば、こうした分詞、つまり動詞を形容詞化して使うことができると、日本語と同じような語順で物事の叙述ができるそうです。これは日本語母語話者にはうれしい、というか、より自然な感覚でフィンランド語をアウトプットできるということですよね。楽しみです。授業では手始めにこういう文章を作りました。

私は(向こうでピアノを弾いている)女の子を知っている。
Minä tunnen(tuolla pianoa soittavan)tytön.

「私は女の子を知っている」だったら、シンプルな「主語+動詞+目的語」ですが、そこに「向こうでピアノを弾いている」という「女の子」を形容する内容が挿入されています。この「soittava」が現在分詞で、もともと動詞「soittaa(弾く)」が形容詞化して「女の子」を修飾しているんですね。この現在分詞と修飾される言葉が同じ格になるというのがポイントだそうで、ここでは「女の子」がひとりなので対格の「tytön」になっているため現在分詞も「soittavan」と対格になっています。ということは、分詞もさまざまに格変化するんですね……。

現在分詞の作り方は、①動詞を三人称複数の形、つまり「〜vAt」にする。②「t」を取る。つまり「soittaa → soittavat → soittava」ということですね。これを「現在分詞単数主格(原形)」と呼ぶそうです。ただし例外があって「olla」だけは「olla → ovat → ova」とはならずに「oleva」となるとのこと。

私は向こうで本を読んでいる男の子を知っている。
Minä tunnen tuolla kirjaa lukevan pojan.
私は図書館で本を読んでいる男の子を知っている。
Minä tunnen kirjastossa kirjaa lukevan pojan.

上記の例文では「soittaa(弾く)」や「lukea(読む)」が継続動詞なので、目的語の「piano(ピアノ)」や「kirja(本)」は分格になっています。とにもかくにも分詞を使うと、より細かいことが言えるようになりそうです。なおこの分詞を使った文は、すでに学んだ関係代名詞を使っても言えます。関係代名詞を使った文はどちらかというと口語的で、分詞を使った文はどちらかというと文章に多いそうです。

私は向こうでピアノを弾いている女の子を知っている。
Minä tunnen tuolla pianoa soittavan tytön.
私は知っている女の子を、その女の子は向こうでピアノを弾いている。
Minä tunnen tytön, joka soittaa pianoa tuolla.

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Minä tunnen tuolla pysäkillä soittavan pojan.