NHKの教育テレビ(「Eテレ」ですか)に『ピタゴラスイッチ』という番組がありまして、その中でも人気の「ピタゴラ装置」というコーナーがあります。もはや解説は不要でしょうけど、私たちの身の回りにあるありふれた素材(文具などが多い)を使ってさまざまな仕掛けやからくりが組み込まれたルートが作られており、そこを小さな玉などが転がっていくというものです。
ドミノ倒しのようにいくつものからくりが連鎖し、しかも一度スタートした後は一切人の手による補助が行われることなく(編集でつなぐことも行われていない……と信じたい)ラストまでつながっていきます。おそらくこれを実現させるために相当の微調整やトライアルが繰り返されたのだろうな……と思いながら、その思いがけない動きの数々を眺めていると異様なほどのカタルシスを覚える、そんなコーナーなのです。
で、そのピタゴラ装置の特別版として以前に制作された、物語仕立ての「ビーだま・ビーすけ3部作」(ビーすけの大冒険/ビーだま兄弟の大冒険/黒玉軍の野望)というものがありまして、そのからくりの裏側を解説するという「ビーだま・ビーすけ おどろきの秘密 大公開スペシャル!」が先日放映されました。いまのところNHK+でも見逃し配信されています。また1月14日にも再放送があります。
あらためて本当に手に汗握る興奮とカタルシスを味わったわけですが、このコーナーに出演している「トンカッチ」の声はどなたがやってらっしゃるのかなあと思いました。あ、トンカッチというのは『ピタゴラスイッチ』に登場する、ピタゴラ装置の評論家ってことになっているトンカチ(ハンマー)のキャラクターです。今回は特別編ということで「スーパートンカッチ」という名前になっていました。
以前のトンカッチとは多少声が変わったような気もしますが、番組のエンドロールで「声の出演」にパトリック・ハーラン(パックン)氏のお名前が出てきたので、ちょっと驚きました。え、もしかしてトンカッチの声を氏が? でももう一度番組を確認してみたら、パックン氏はビー玉兄弟たちが冒険するときのナレーションで登場していました。
また他の方も、いずれもトンカッチの声ではなさそうです。早川諄氏は著名な声優さんで「黒玉軍」をやっていますし、その下に並んでいるお三人も、お名前を検索してみると子役の俳優さん(声優さん)たちでした。ビー玉兄弟や黒玉王子の声でしょうね。徳田章氏はNHKのアナウンサーで番組の最初に地の声として登場していますし、菅原達郎氏はおそらくこの番組全体の監修をされている佐藤雅彦研究室にいらした、ピタゴラ装置の解説をしている方です。
ということはつまり、この番組で一番たくさん喋っているトンカッチの声優さんはなぜか明かされていないのです。ネットでも検索してみましたが、トンカッチの声が誰なのかは謎のままのようで、確たるところはわかりませんでした。なるほど、これはひょっとすると、明らかにしないところまで含めての番組のコンセプトなのかもしれません。となれば、強いて詮索するのも野暮というものですね。私はエフェクトをかけたキムラ緑子氏の声かなあと思ったのですが……だから、詮索は野暮なんだって。