インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

和柄をあしらったデニム

けさ職場に出勤してきたら、同僚の一人がおもしろいデニムを履いていました。腰回りの背中側、ベルトを通す輪っかがありますよね(アレを「ベルトループ」というのだと初めて知りました。)、その下の5センチあまりに和風の布がパッチワークのようにあしらわれています。膝にもダメージ加工がしてあって、内側からやはり和風の布が当てられています。絣の「もんぺ」もみたいな生地が使われているんですけど、全体的にすごくおしゃれ。ごつい黒のブーツとの相性も抜群に思えました。デニムは、岡山県の有名な工房のものだそうです。

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「それ、いいですねえ」と思わず声をかけてからしばし、「どうして自分にはこういう服のセンスがないんだろう」と思いました。そう、こうやって他人が着こなしているのを見ると「そういうのがあったのか!」と思うのですが、自分ではまず絶対に思いつけないのです。そしてまた、他人がかっこよく着ているコーディネイトを自分が真似ても、これがまた全然よくない。本当に私は服のセンスというものがありません。

自分でも信じられないですけど、これでも大学では美術を専攻していたのです。なのにこの服のセンスの無さはどうでしょう。コーディネイトだけではありません。色彩に関するセンスにも乏しくて、放っておくとパステルカラーのポロシャツに迷彩柄の帽子を合わせちゃうような人間です。記憶では色彩学も履修して、色の三属性と言われる色相や彩度や明度、あるいは色相環の補色や近似色、トーンなどなどを勉強したはずなのに。

あまりにセンスがないので、世間様と違って服装はいわゆる「制服」のようなものが一番ラクです。あれこれ考える余地が少ないから。サラリーマンのときはスーツですからそれで済んでいましたが、いまの職場は基本的にみなさんカジュアルなので困ります。スーツで通してもいいけど疲れるので、基本同じようなものを毎日来ています(着替えますけど)。色も黒か紺か、せいぜいグレー。あと白。他の色には極力手を出さないことにしています。

でもけさの同僚みたいな着こなしに接すると、ああいいなあ……という気持ちが沸き上がって仕方がありません。以前にプロのスタイリストさんが服を選んでくれるサブスクみたいなのを利用したこともあるのですが、あれはけっこうお高かったしなあ。


https://www.irasutoya.com/2015/11/blog-post_366.html

そういえば「もんぺ」で思い出しましたが、かつて熊本県の田舎で農業の真似事みたいなことをしていたころ、農作業用のもんぺが新鮮に思えて毎日履いていたんでした。農作業のときはそれでもいいけど、そのまんま軽トラで街に出かけたりもしていたので、ある時友人からたしなめられたことがありました。都会からやってきた若いものが面白がって「もんぺ」を履くのは楽しいかもしれないけど、地元の人は奇異の目で見ているよって。

そうか……やっぱり私は、服のセンスというものに徹頭徹尾欠けているんですね、昔も今も。