インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

自民党と統一教会

テレビのニュース番組というものをあまり見なくなりました。これはひとりニュース番組に限りませんが、テレビ番組というものは基本的に視聴者にとって非常に不自由なコンテンツです。その不自由さについて行けなくなってきたのです。

以前はそんなことを考えもしなかったのですが、世の中にこれだけインターネットの動画サイトや、ストリーミング配信サービスや、ポッドキャストなどが横溢していると、自分の都合のいい時間に視聴したり、ときに早送りをしたり、一時停止したり、視聴し直したり……などなどが一切できないメディアとしてのテレビはひどく使い勝手が悪いものとして認識されるようになります。

私みたいなテレビ全盛時代をかつて生きてきた世代はまだ、テレビ番組に対してある種の愛着を持っているかもしれませんが、デジタルネイティブのお若い方ならなおさら、既存のテレビ番組の、あまりの不自由さに我慢できない方は多いのではないでしょうか。

そのうえ民放だと、当たり前ですけれどもCMが差し挟まれます。これがまたとても目障り・耳障りに感じられるようになりました。これも不思議なことに、かつてはそんなふうに感じていなかったのです。むしろCMだって楽しんで見ていたと言ってもいいくらい。それがすっかりムダな時間に感じられるように。

というわけで、見たいテレビ番組は基本的に録画したものをCMを飛ばしながら見るというのがデフォルトになりました。かつてのようにとりあえずテレビをつけてだらだら見続けるというのは、炊事をしている時くらい。それも最近ではYouTubeポッドキャストの興味のある番組に移行しています。

ニュース番組にしても、テレビ局側の組み立てたニュースの構成を、興味があるなしにかかわらず頭から視聴させられるというのは、よくよく考えてみるとこれまたとてもムダな時間の過ごし方です。

もちろん恣意的に自分の興味のあるニュースだけ見るのは偏りが生まれますから、いま世の中全体がどうなっているのかをざっと俯瞰する意味ではそれでもいいのかもしれません。でもテレビのニュースというものは基本的にとても情報が薄いものです。それだったらニュースは、速報性には欠けるけれども新聞で読めばいいと私は考えています。もちろん本邦のジャーナリズムが昨今かなりお寒い状況にあるということはじゅうぶんに踏まえながらも。

そんななか、民放でCMもとっても邪魔だけれども(ごめんなさい。民放だからしかたがないですよね)よく見ているニュース番組がひとつだけあります。BS-TBSの『報道1930』です。日によって呼ばれるゲストのお話にやや巧拙はありますが、毎回ひとつかふたつのテーマに絞って一時間半けっこう突っ込んだやりとりが行われます。それでも諸外国のジャーナリズムに比べるとかなり「ぬるい」感じはしますが、いまの日本だとこれでも良質な方ではないかなと思っています。

先日は「自民党統一教会」がテーマでした。自民党石破茂氏、立憲民主党長妻昭氏、日本共産党小池晃氏という三人の国会議員がゲストでしたが、なかでも小池氏の自民党批判がド正論だと思いました。

なぜ統一教会とはもう全ての関係を断ち切るというふうに言えないのか。これは宗教の問題ではないですよ、カルトですよ。宗教の自由はあるかもしれないけど、カルトの自由はありません。自民党がまともな政治的な常識を持っているのであれば、もうこのような団体とは一切関係を持ちませんということを明言するべきなのにそれを言わない。銃撃事件の背景にこの問題があったにも関わらず、これを真摯に真相解明しようという姿勢も見えない。何よりも統一教会に対する怒りの声が出てこない。私には異常な光景に見えます。これはやはり党派を超えてこういう実体を全面解明して、二度とこんなことが起こらないように努力をするというのが政治の責任だと思いますけれども、それに全く背を向けているのが今の自民党ではないかと思います。(24:21ごろから)


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これに対して石破氏のなんとも歯切れの悪い弁明が非常に痛々しかったです。こうしたテーマの回に自民党の国会議員として出演するだけでもまだ良しとすべきかもしれませんけれども。しかし現在の自民党の中ではいちばんの「非主流派」と目される石破氏でさえこんなに煮え切らない発言でごまかそうとしているんですから、やはり今後もこの問題の全面解明の見通しはかなり暗いでしょうね。もちろんわれわれ有権者にもその責任の一半はあるのですが。