インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

気前のよい公共放送

フィンランドの公共放送(国営放送)Yleには“Uutiset selkosuomeksi(やさしいフィンランド語ニュース)”というウェブサイトがあって、ゆっくりとした語速と平易な言葉遣いでテレビとラジオのニュースを視聴することができます。本来はおそらく移民の方向けに作られているコンテンツではないかと思いますが、私たちのような外国人のフィンランド語学習者にとっても重宝します。私はこのニュースをディクテーションするなどして聴解の練習に利用させてもらっています。

yle.fi

ところで、これまで私はこちらの音声を、ちょっと面倒な方法で録音して利用してきました。MacBookのシステム設定からサウンドで出力と入力ともに“Background Music”を選び、QuickTime Playerの「新規オーディオ収録」で録音するのです。“Background Music”を選ぶと音は外に出なくなりますから、QuickTime Playerのインジケータで音量を確認しつつ、ニュースを全部再生し終わるまでじっと待っているという、なんともまどろっこしい方法でした。

それが昨日、何気なくYleの音声部分を右クリック(というかMacトラックパッドなので2本指でタップ)してみたら、なんと「名前を付けてオーディオを保存」というプルダウンメニューが現れるではありませんか。知らなかった〜! これだけでmp3形式の音声がダウンロードできてしまいました。私は今まで何をやっていたのでしょう。世間ではあれだけ「困ったときの右クリック」と言われているというのに。

mp3にできてしまえば、各種のアプリを使って再生速度を変えたり、同じところを繰り返し再生したりと、使い勝手が格段によくなります。じっくり何度も聞き直したい語学の学習にうってつけです。公共放送ならではのこういった気前のよさはありがたいです。

実は日本のNHKにも「やさしい日本語で書いたニュース」というサイトがあって、Yleと同じようなコンテンツがあるのですが、こちらは音声がダウンロードできません。NHKは視聴者がコンテンツを勝手に利用したり改変したりというのを一切許さない姿勢のようで、例えばNHKプラスなど、画面のキャプチャーさえブロックされてしまいます(灰色の画面になる)。

www3.nhk.or.jp

著作権的には当然の姿勢でしょうから仕方がないとは思いますが、「やさしい日本語で書いたニュース」くらいはYleみたいに気前よく開放してくれると、日本語を学ぼうとする海外の方や日本国内の非日本語母語話者のみなさんの役に立つし、喜ばれるのではないかと思います。