インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

語尾で聞き、話すフィンランド語

ほそぼそと学習を続けているフィンランド語。このところオンライン教室では先生から課題が出ていて、それはすでに学び終わった教科書の本文を、一番最後の章から逆順ですべて暗記していくというものです。いまのところ最後から5章ほどまで遡ってきました。

なぜ最後の章から暗記していくかというと、先生によればその方が後になるほど楽になるからなんだそうです。教科書というのはたいがい、章を追うごとに新しい文法事項が増えていくものです。つまり一番最後の章では、基本的にはそれまで出てきた文法事項がすべて使われているはず。

だから一番最後の章を完璧に覚えてしまえば、その前の章、そのさらに前の章……と遡って行くにつれ、どんどん文法事項が減って、覚えるのが楽になっていくというわけですね。

例えばいま覚えている教科書『suomea suomeksi 1』では、一番最後の第27章で「複数属格」を学びます。その前の第26章では「複数分格」、さらにその前の第25章では「複数入格」、第24章では「複数」……つまり、第24章で複数表現が出てきた後、順番に入格、分格、属格と学ぶようになっている。当然最後の第27章ではそれらをすべて駆使してテキストが書かれています。

というわけで、本文のテキストを一文ずつQuizletに入れて、すきま時間を利用しながら必死で覚えています。先日も書きましたけど、「ス○ードラーニング」みたいに音声を聞き流しているだけではちっとも定着しないことが分かったので、Quizletの「学習モード」で文章を書きながら覚えるようにしました。

覚えながら改めて実感したのは、フィンランド語はやはり「語尾で話す言語」だという点です。つまり、名詞や動詞や形容詞などがものすごい格変化を起こすがゆえに「悪魔の言語」呼ばわりされるフィンランド語ですが、その格変化はほとんどが語尾で起こっている。言い換えると語尾の違いで意味の違いを表現するところにフィンランド語最大の特徴があって、リスニングではその語尾をいかに素早く的確につかめるかが勝負になるということです。

これは同じく動詞などが活用する日本語と少し似ています。日本語も、例えば五段活用では「読む」が「読む・読まない・読みます・読むとき・読めば・読め」みたいに語尾が変わっていきますよね。先生はだから、フィンランド語のリスニングでは語尾がまるで膨張しているように目立って聞こえてくるような感覚が大切、なんてことをおっしゃいます。

そしてまたフィンランド語を話すときにも、主語と動詞の人称や単複や時制によって語尾を変え、それに従ってほかの単語も基本的には語尾を調整していくようなかたちで文が生成されていきます。その語尾生成を滑らかにできるようになるのが目標ということなのでしょう。

ともあれ、語尾の違いに注意しながら、暗記を続けたいと思います。