以前、動詞の活用(時制の変化)についてワークシートを作りまして、その練習は今でも継続しているのですが、フィンランド語はこれ以外にも名詞、代名詞、形容詞などが格変化を起こします。というわけで、その練習が加わりました。
格変化について
フィンランド語は日本語と同じ「膠着語」に属する言語で、例えば「猫」という単語があったら、「猫が」「猫の」「猫に」「猫から」「猫へ」みたいに変化するのですが、これを日本語のように「てにをは」などの助詞を使うのではなく、単語自体がその格を表すように変化するのです。
●kissa(猫)
単数主格(辞書形) | kissa | 複数主格 | kissat |
単数属格(〜の) | kissan | 複数属格 | kissojen |
単数対格(〜を) | kissan | 複数対格 | kissat |
単数分格(〜を) | kissaa | 複数分格 | kissoja |
単数内格(〜の中で) | kissassa | 複数内格 | kissoissa |
単数出格(〜の中から) | kissasta | 複数出格 | kissoista |
単数入格(〜の中へ) | kissaan | 複数入格 | kissoihin |
単数所格(〜の表面で) | kissalla | 複数所格 | kissoilla |
単数離格(〜の表面から) | kissalta | 複数離格 | kissoilta |
単数向格(〜の表面へ) | kissalle | 複数向格 | kissoille |
単数変格(〜になる) | kissaksi | 複数変格 | kissoiksi |
単数様格(〜として) | kissana | 複数様格 | kissoina |
※他にも「具格」「共格」「欠格」がありますが、未習なので割愛します。
語幹を求める
この格変化ができるようになるためには、一部の例外を除いてまず語幹を求める必要があります。辞書形でそのまま語幹になるものもありますが、語幹が辞書形から変化するものもあります。語幹が変化するのは、単語の最後が「i / e / 子」の時だけです。「ie子」を私は「いえこ」と読んじゃっていますが、要するに単語の最後が「i」と「e」と「いくつかの子音」で終わる場合に語幹が変化し、それ以外はそのまま格語尾をつけて構わないということです。上述の「kissa(猫)」は単語の最後が「a」ですから、語幹はそのまま「kissa」です。
さらに必要なものは「kptの変化」が起こります。「kissa」は該当しませんが、例えば「kukka(花)」だったら「kk→k」という変化が起きます。しかも格によってはこの「kptの変化」がないものもあってややこしいです。
先生からはプリントが配られて、この「ie子」が語尾にある単語の語幹の求め方と、「kptの変化」パターンは覚えちゃってくださいと指示がありました。覚えたらその部分は黒塗りにして、いちいち参照しなくてもすぐに作れるようにと。ううむ、なかなか厳しいです。このプリントは先生のオリジナルですからここにそのまま載せるわけにはいきませんが、例えば「i」だったら、「外来語とフィンランド語と特殊に分かれて、外来語は不変化、フィンランド語は i が e 、特殊は veli が velje ……」のようにつぶやいて覚えるのです。
語幹の変化表をよく見ると「例外」や「複数」で「s」が「kse」になるものが多いです。この変化はフィンランド母語話者の中ではとてもポピュラーなのかもしれません。
それにしても、前にも書きましたが、母語話者はこうした変化をほとんど無意識のうちにできてしまうのがすごいですね。まあ日本語でも私たちは「一本(ippon)、二本(nihon)、三本(sanbon)」のような変化を無意識にできてしまいますが、これは非日本語母語話者からすると驚愕の変化です。もっとも、こうした変化は「より苦労せず言いやすい形に」という一種の言葉の経済性に則っているわけで、そこがとても人間らしいなと思います。
Ilma muuttuu lämpimäksi.