インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

フィンランド語 45 …複数形登場

ほとんど「ボケ防止」で始めたフィンランド語の学習は細々と続いています。先日フィンランドを旅行して、多少なりとも看板が読めたり、単語の羅列程度であっても話が通じたりすると、やっぱり楽しいものですね。

学校での授業はどんどん進んで、複数形が登場しました。これまでにも「複数主格」というのだけは学んでいて、例えば「kissa(猫)」が「kissat(猫たち)」と、「t」が目印という認識だったのですが、フィンランド語はその他の名詞や形容詞の格も全て複数形になるのです。しかも格によって複数形の作り方が異なるという……さすがに「悪魔の言葉」と言われるだけのことはあります(褒めてます)。

ただ複数の「属格」「分格」「入格」以外は同じ作り方だということで、まずはそちらから学びました。目印は複数主格(対格も)の「t」に対して「i」です。あれ、「i」は過去形の目印でもあったんじゃないの……ということでまた混乱しそうな予感がしますが。

基本的には単数の活用語幹(つまり「ie子」やkptの変化を済ませたあと)に「i」を足し、さらにそれぞれの格語尾(つまり内格なら「ssA」、出格なら「stA」など)をつけるんですけど、重要なのは「i」が入ることで「母音交替」という現象が起きることです。この現象は過去形でも起きました。

①活用語幹の最後が o ö u y の場合、母音交替は起こらない。
talo(家):talossa → talo i ssa → taloissa

②活用語幹の最後が e ä の場合、e ä が消える。
joki(川):jokella → joke i lla → jokilla
tytär(娘):tyttärestä → tyttäre i stä → tyttäristä

③活用語幹の最後が a の場合、単語の最初の母音が o u なら a が消え、それ以外なら a が o になる。
koira(犬):koirasta → koira i sta → koirista
kirja(本):kirjassa → kirja i ssa → kirjoissa

④活用語幹の最後が i の場合、 i が e になる。
pankki(銀行):pankissa → panki i ssa → pankeissa

⑤活用語幹の最後が長母音の場合、短母音になる。
maa(国):maassa → maa i ssa → maissa

⑥活用語幹の最後が二重母音の場合、最初の母音が消える。
työ(仕事):työssä → työ i ssä → töissä

⑦三音節以上の単語で、活用語幹の最後が a ä の場合、名詞は a ä が o になり、形容詞は a ä が消える(例外あり)。
ravintola(レストラン):ravintolassa → ravintola i ssa → ravintoloissa
ihana(素敵な):ihanassa → ihana i ssa → ihanissa

⑦番はいろいろと例外があるようで、例えば「omena(リンゴ)」は「omenoi-」と「omeni-」のどちらもOKみたいです。でもまあこれで、よりヴィヴィッドな表現ができるようになりますね。私は以前こんな例文を作ってみたことがあるのですが……。

Miksi sinä opiskelet suomea?
Koska minä pidän suomen metsästä ja järvestä.
なぜフィンランド語を学んでいるの?
フィンランドの森と湖が好きだからです。

なんだか質問と答えが噛み合っていない稚拙な例文ですが、それ以上に、これだと「森」と「湖」が単数形なので、フィンランドのある特定の森や湖が好きということになっちゃうんでしょうね。正確に表現するなら「森たち」「湖たち」と複数形にしなければならないと。このへんは日本語とぜんぜん違う発想で面白いです。

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Miksi sinä opiskelet suomea?
Koska minä pidän suomen metsistä ja järvistä.