複数分格を学びました。先生によると、この複数分格はとてもよく使われるということで大事な格だそうです。その前に、どんな時に複数分格が使われるのか、これまでに学んだ文型を復習しながら確認しました。
●「A olla B(AはBである)」の文(第一文型)
① Kirja on kallis.(本は高い)
数えられる名詞の場合、述語は単数主格(辞書形)でした。
② Maito on kallista.(牛乳は高い)
数えられない名詞の場合、述語は単数分格になりました。
③ Kirjat ovat kalliita.(本たちは高い)
主語が複数ならolla動詞も複数、そして述語も複数分格になります。「本たち」という日本語は不自然ですけど、日本語ではこういう単数・複数や加算・不加算をあまり意識しないんですよね。
代名詞を使っても同じです。
① Tämä on kirja.(これは本です):単数主格
② Tämä on maitoa.(これは牛乳です):単数分格
③ Nämä ovat kirjoja.(これらは本たちです):複数分格
これらの本たちということで複数主格の「kirjat」を使ってしまいがちですが、ここは複数分格になるんですね。
●存在文・所有文(第二文型)
「〜ssA on 〜」や「〜llA on 〜」のような「〜に〜がある」を表す存在文、「人称代名詞 + llA on 〜」のような「だれそれは〜を持っている」を表す所有文の場合です。
① Pöydällä on kirja.(机の上に一冊の本があります):単数主格
② Pöydällä on kaksi kirjaa.(机の上に二冊の本があります) :単数分格
③ Pöydällä on kirjat. (机の上に全ての本があります):複数主格
④ Pöydällä on kirjoja. (机の上に何冊かの本があります):複数分格
複数には「ひとつ以外の複数(②)」か「全部(③)」か「不定量数(④)」かの三種類がありえるということでした。さらに、数えられない名詞については単数分格をとるのでした。
⑤ Lasissa on vettä.(グラスの中には水があります):単数分格
それと、否定文の目的語は常に分格というのもありました。
⑥ Pöydällä ei ole kirjaa.(机の上に本はありません):単数分格
●「〜を〜する(動詞+目的語)」の文(第三文型)
① Minä luen kirjan.(私は一冊の本を読みます):単数対格(ひとつ)※単数属格と同じ形
② Minä luen kaksi kirjaa.(私は二冊の本を読みます):単数分格(ふたつ=ひとつ以外)
③ Minä luen kirjat.(私は全ての本を読みます):複数対格(ぜんぶ)※複数主格と同じ形
④ Minä luen kirjoja.(私は何冊かの本を読みます):複数分格(いくつか=不定量数)
これも、否定文の目的語は常に(加算・不可算に関わらず)分格でした。
⑤ Minä en lue kirjaa.(私は本を読みません):単数分格
⑥ Minä en juo kahvia.(私はコーヒーを飲みません):単数分格
⑦ Minä en lue tätä kirjaa.(私はこの一冊の本を読みません):単数分格(代名詞 tämä も単数分格)
⑧ Minä en lue näitä kirjoja.(私はこれらの本を読みません):複数分格(代名詞 tämä も複数分格)
複数分格
こうしてみると、日常生活で複数分格を使う機会は多そうです。ひとつだけ、とか、ぜんぶ、などと極端なシチュエーションより、いくつかという不定数量を言うことは多いでしょうから。複数分格は単数分格からではなく単数主格(原形・辞書形)から作ります。まず語幹を求め、語幹の最後が母音1つなら、i を足して母音交替をしたのち A を足します。
kukka(花)
① 語幹はそのまま「kukka」。
② 分格なので「kpt交替」はなし(一部逆転の場合はあり)。
③ i を足して母音交替。この場合は i の前が a でかつ最初の母音が o,u なので a が消えて「kukki」。
④ 語幹の最初の母音は1つだったので a を足して「kukkia」。
語幹の最後が母音2つなら、i を足して母音交替をしたのち tA を足します。
maa(国)
① 語幹はそのまま「maa」。
②「kpt交替」はなし。
③ i を足して母音交替。この場合は i の前が aa なので前の a が消えて「mai」。
④ 語幹の最初の母音は1つだったので ta を足して「maita」。
最後が三重母音になってしまう場合は i を j にします。
kirkko(教会)
① 語幹はそのまま「kirkko」。
②「kpt交替」はなし。
③ i を足して母音交替。この場合は i の前が a でかつ最初の母音が o,u 以外なので a が o になり「kirkkoi」。
④ 語幹の最初の母音は1つだったので a を足して「kirkkoia」。
⑤ 最後が三重母音になってしまうので i を j にして「kirkkoja」。
ただし例外があって、ri で終わる、人をあらわす単語(全て外来語だそうです)は ri をそのまま reitA にして複数分格を作るそうです。
naapuri(隣人):ri を reita にして「naapureita」。
kaveri(友達):ri を reita にして「kavereita」。
これで「複数属格」以外がすべて埋まりました。先生から予告がありましたが、残る複数属格は、複数分格から作るのだそうです。あともう一息です。
単数主格(辞書形) | kirkko | 複数主格 | kirkot |
単数属格(〜の) | kirkon | 複数属格 | ★ |
単数対格(〜を) | kirkon | 複数対格 | kirkot |
単数分格(〜を) | kirkkoa | 複数分格 | kirkkoja |
単数内格(〜の中で) | kirkossa | 複数内格 | kirkoissa |
単数出格(〜の中から) | kirkosta | 複数出格 | kirkoista |
単数入格(〜の中へ) | kirkkoon | 複数入格 | kirkkoihin |
単数所格(〜の表面で) | kirkolla | 複数所格 | kirkoilla |
単数離格(〜の表面から) | kirkolta | 複数離格 | kirkoilta |
単数向格(〜の表面へ) | kirkolle | 複数向格 | kirkoille |
単数変格(〜になる) | kirkoksi | 複数変格 | kirkoiksi |
単数様格(〜として) | kirkkona | 複数様格 | kirkkoina |
Suomessa on lukemattomia erikoisia saunoja.