複数形は、語幹と語尾の間に i を足すのですが、この時に i の前にある母音との間で「母音交替」という現象が起きます。母音交替については、過去形や複数形を学んだ時に出てきました。
この母音交替については、先生から交替のパターンを暗記するように指示がありました。自分なりにまとめてみると、こうなります。まずは単語の語幹を求め、その上で……
語幹の最後の母音 | i を足した後の母音交替の結果 |
o,u,y,ö | 不変化 |
e | 消える |
i | eに変わる |
長母音(aa,ooなど)と二重母音(uo,yöなど) | 前の母音が消える |
後ろが i の二重母音(oi,uiなど) | 後ろの i が消える |
二音節の単語で ä | 消える |
二音節の単語で a で最初の母音が o,u | 消える |
二音節の単語で a で最初の母音が o,u 以外 | o に変わる |
三音節以上の単語で a,ä | ※特殊な変化 |
この中では、i が e に変わるというのが過去形と異なっています。過去形のときは、たとえば「oppia(学ぶ)」の語幹が「oppi」で、そこに i をつけると i が消えて結局「opin(私は学んだ)」のようになったのですが、複数形ではたとえば「hissi(エレベーター)」の語幹がそのまま「hissi」で、そこに i をつけると i が e に変わって語幹が「hissie」になり、そのあと格変化の語尾をつけてたとえば「hissiessä(複数のエレベーターの中で)」などとなる、と。
また三音節以上の単語でかつ a,ä で終わる場合には ※ をつけた特殊な変化があって、これも覚えるように指示がありました。
語幹の最後 | 母音交替後の形 |
vA | vi |
mA | mi |
eA | ei |
lA | loi |
iA | ioi |
AjA | Aji |
lijA | lijoi |
nA(名詞) | noi |
nA(形容詞) | ni |
rA(名詞) | roi |
rA(形容詞) | ri |
kkA | koi |
う〜ん、大変です。でもこれらはネイティブスピーカーであれば発音しやすいように無意識のうちに調整して自然にできることなんですよね。何度も練習して、最初は知識として変化させられるように、そして最終的にはそういうネイティブと同じような感覚を身体に覚えさせるしかありません。
これでたとえば「kirkko(教会)」の複数内格なら……
①語幹はそのまま「kirkko」。
②kpt の変化としては kk → k なので「kirko」。
③そこに複数の i を足して「kirkoi」。
④母音交替のパターンでは i の前が o なので不変化。
⑤よって「kirkoissa(複数の教会の中で)」……となります。
ちなみに「複数様格」は kpt の変化がありません(kirkkoina)。また「複数入格」はすでに学びました。
これで「複数属格」と「複数分格」以外がすべて埋まりました。
単数主格(辞書形) | kirkko | 複数主格 | kirkot |
単数属格(〜の) | kirkon | 複数属格 | ★ |
単数対格(〜を) | kirkon | 複数対格 | kirkot |
単数分格(〜を) | kirkkoa | 複数分格 | ★ |
単数内格(〜の中で) | kirkossa | 複数内格 | kirkoissa |
単数出格(〜の中から) | kirkosta | 複数出格 | kirkoista |
単数入格(〜の中へ) | kirkkoon | 複数入格 | kirkkoihin |
単数所格(〜の表面で) | kirkolla | 複数所格 | kirkoilla |
単数離格(〜の表面から) | kirkolta | 複数離格 | kirkoilta |
単数向格(〜の表面へ) | kirkolle | 複数向格 | kirkoille |
単数変格(〜になる) | kirkoksi | 複数変格 | kirkoiksi |
単数様格(〜として) | kirkkona | 複数様格 | kirkkoina |
Minä menin monta kirkkoihin viime kesänä.