インタプリタかなくぎ流

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フィンランド語 46 …単数形の入格と複数形の入格

複数形については、これまで二種類の形を学びました。ひとつは主格や対格の複数形で、目印は「t」。例えば「kuka(花)」なら複数主格が「kukat」、複数対格も「kukat」です(複数形の主格と対格は同じ形)。もちろん「ie子」の語幹変化や「kpt」の変化(子音交代)も起こるので、例えば「kirkko(教会)」なら「kirkot」、「kieli(言語)」なら「kielet」、「suomalainen(フィンランド人)」なら「suomalaiset」などとなります。

もうひとつ学んだのは、内格・出格・所格・離格・向格・変格・様格の複数形で、目印は「i」。これらは「ie子」や「kpt」の変化を済ませたあとに「i」を足し、さらに「母音交替」が起きるのでした。

qianchong.hatenablog.com

そして今回新たに学んだのが、入格の複数形です。まず、入格の単数形を復習しました。

単数入格

基本的には単語の最後の母音を伸ばして「n」をつけるという作り方ですが、大きく三種類に別れていました。また入格は「kpt」の変化をさせないというのも特徴でした。

●kirkko(教会)※語幹の最後が短母音の場合。
①語幹はそのまま「kirkko」。
②最後の母音を伸ばして「n」をつける。つまり「kirkkoon」。

●maa(国)※語幹の最後が長母音で単音節の場合。
①語幹はそのまま「maa」。
②最後の母音を伸ばして「n」をつけると「maaan」になる。
③「aaa」と三重母音になってしまうので、間に「h」をはさむ。つまり「maahan」。

●lentokone(飛行機)※語幹の最後が長母音で複数音節の場合。
①語幹は「e → ee」なので「lentokonee」。
②この場合は「seen」をつける。つまり「lentokoneeseen」。

ただし、長母音でも二重母音でもないと見なされる「io」や「eo」は「i/o」「e/o」と考え、最後の母音を伸ばして「n」をつけるだけです。例えば「museo(美術館・博物館)」は「museoon」になります。

複数入格

これらが複数になると、まず語幹を求め、さらに「i」を足すことで母音交替が起こります。「kpt」の変化がないのは同じです。

●kirkko(教会)
①語幹はそのまま「kirkko」。
②「i」をつける。母音交替の法則により語尾の「o」は不変化なので、母音を伸ばして「n」をつける。つまり「kirkkoiin」。
③「oii」と三重母音になってしまうので、間に「h」をはさむ。つまり「kirkkoihin」。

●maa(国)
①語幹はそのまま「maa」。
②「i」をつける。母音交替の法則により語尾の「aa」は前の母音が消えるので「mai」。母音を伸ばして「n」をつける。つまり「maiin」。
③「aii」と三重母音になってしまうので、間に「h」をはさむ。つまり「maihin」。

要するに「hin」をつけるということかしらと思いますけど、例えば「pieni(小さい)」は「piene → pienei → pieniin」となるから油断は禁物です。「saari(島)」は「saariin」、「uusi(大きい)」は「uusiin」になるので、語幹が「e」で終わるものは結局辞書形の最後を伸ばして「n」ということになりそうです。

辞書形 単数入格 複数入格
pieni pieneen pieniin
saari saareen saariin
uusi uuteen uusiin ※複数語幹は「uuse」。

●lentokone(飛行機)
①語幹は「e → ee」なので「lentokonee」。
②この場合はさきに「siin」をつける。つまり「lentokonee + siin」。
③語幹の最後に「i」をつける。母音交替の法則により語尾の「ee」は前の母音が消えるので「lentokonei」。というわけで「lentokoneisiin」

同じように「osoite(住所)」は「osoitteisiin」、「vieras(見知らぬ)」は「vieraisiin」なので、要するに複数音節以上の言葉で、語幹の最後に長母音が出てくるものは「isiin」をつけるということですか。

先生によると入格はことのほか多く用いられるそうで、それは目的語に入格を取る動詞があるからなんですね。例えば「tutustua(知り合う)」もそのひとつで……

Hän tutustui moniin mielenkiintoisiin ja hauskoihin ihmisiin.
彼女は多くの興味深くて面白い人々と知り合いました。

……などと、目的語が入格のオンパレードになります。「moni(多くの)」「mielenkiintoinen(興味深い)」「hauska(面白い)」「ihminen(人)」が全部複数入格になっているんですね。「人」が「人々」と複数になるのは分かりますけど、それにつられて他の形容詞も全部複数になるというのが日本語にはない発想で面白いです。「多々の、興味深々い、面白々い、人々」という感じ?

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Minä kävin moniin pieniin kauniisiin kirkkoihin viime kuussa.