「puhua(話す)」という動詞を学びました。まず人称による変化を確認しておきます。
● puhua(話す)
①最後の a を取って語幹は puhu 。
②語幹の最後の音節に「k,p,t」 がないのでそのまま変化。つまり……
puhun | puhumme |
puhut | puhutte |
puhuu | puhuvat |
Puhutko sinä suomea ?
あなたはフィンランド語を話しますか?
Puhun, mutta vähän.
話します。でも少しです。
「suomi(フィンランド語)」が分格の「suomea」になっています。先生によると「全て」と言えない目的語は分格をとるそうです。つまり「フィンランド語を話す」といっても、フィンランド語全てを話すわけではなく、ごく一部のある話題を話すからということかな?
日本語にはない概念の分格ですが、それでも同じ人間の思考である以上、全く理解できないということはないはず。分格は「分ける格」というその名の通り、目的語が一部分であることを表すんでしょうね。
話しますかと問われて、「Puhun」と答えています。人称代名詞の「Minä」が省略されていますが、「Puhun」自体が一人称単数の形なので、言わずもがななんですね。同時に「話す」という肯定の答えにもなっているわけで、要するにこれは「はい」にあたります。先生が「フィンランド語には Yes や No にあたる言葉がない」と言っていたのはこのことですね。
ちなみに「はい」の場合はそれぞれの人称によって変化した形が、「いいえ」の場合は否定辞のあとに動詞の語幹、つまりこの場合は「puhu」がつきます。したがって……
はい | いいえ |
(minä) puhun | (ninä) en puhu |
(sinä) puhut | (sinä) et puhu |
(hän) puhuu | (hän) ei puhu |
(me) puhumme | (me) emme puhu |
(te, Te) puhutte | (te, Te) ette puhu |
(he) puhuvat | (he) eivät puhu |
……ということですね。
Mitä kieltä sinä puhut ?
何の言語をあなたは話しますか?
Minä puhun japania ja englantia sekä vähän suomea.
私は日本語と英語、それから少しフィンランド語を話します。
「kieltä」は「kieli(言語)」の分格です。i で終わるフィンランド語の場合は、語幹が変化して「kiele」になりますが、これは「pieni(小さな)」と同じで「le、ne、re、se、te(レネレセテタイプ、と先生は言っていました)」ですね。
●「kieli(言語)」を分格にしてみる。
i で終わるフィンランド語の場合は、語幹が変化して「kiele」。最後が le、ne、re、se、te で終わるので、語尾は tA(単語に aou が含まれていれば ta 、含まれていなければ tä ) になり、さらに e が消えます。つまり、kiele + tä = kieletä ですが、e が消えて kieltä となるわけです。
「sekä」は事物を列挙するとき、最後につける「それに」にあたる言葉。英語でも「〜, 〜, 〜 and 〜」、中国語でも「〜, 〜, 〜 和 〜」といいますが、同じですね。
しかも、ほんの少ししか話せなくても、フィンランド語では「少ししか話せない」と否定的に言うことはまずないそうです。肯定で「少し話せる」と言う。これ、留学生などに接していると、英語や中国語が母語の生徒さんたちもみんな同じですね。ほとんど挨拶程度しか話せなくても「少し話せる」と言う。この点、日本人はかなり話せても謙遜して「少ししか話せない」と言います。興味深い差異です。
あ、ちなみに「kiina(中国語)」の分格は、これはもう外来語ですから単に「a」をつけて「kiinaa」ですね。
Me puhumme kiinaa.
He puhuvat suomea.