インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

いまとなってはシャレにならない

中国は北京の清華大学に学ぶ内外の学生が、様々な言語で『国際歌(インターナショナル)』を歌っているこの動画。中国共産党の創立100周年を記念して作られたもののようですね。私が中国語を学び始めた頃、“同学(クラスメート)”の一部に「共産趣味」の人たちがいて、私も面白がって中国語で歌っていたことを思い出しました。


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ちょうど中国のロックバンド・唐朝楽隊が『国際歌』をカバーしたり、かつての革命歌曲をロック調やポップス調にアレンジしたアルバムがヒットしていたりした頃で、当時の雰囲気からすると、それらの楽曲の政治的な側面よりも、どこかレトロでキッチュなグッズを愛でるような感覚があったように思います。やっぱりどこかで面白がっていたんですね。

もっともその「面白がりかた」は中国語学校や中国語クラスタ(当時はNIFTYサーブくらいでSNSなどなく、そんな言葉はまだありませんでしたが)の中だからこそ微苦笑をもって迎えられるレベルで済みましたが、一歩外の世界に出てそれをやると、かなり「引かれる」たぐいの行為ではなかったかと思います。

また中国に留学中も私は古道具屋さんで文革時代のグッズなど買い集め、日本人留学生の仲間と紅衛兵のコスプレをしたり、地元のラジオ局の番組で『十五的月亮』をギター弾きながら歌ったり、相当「趣味」に傾倒していました。これも大学内の留学生担当の先生方は微苦笑で受け止めてくれましたが、やはりいまとなっては、つまり中国の覇権的な姿勢がここまで露骨になった現在では、ちょっとシャレにならないかもしれません。

しかし、この動画はそんな懸念などみじんも感じさせることなく、というか「面白がって」さえおらず、いたって真面目にキラキラとした眼ですっくと前を見据えながら、笑顔で『国際歌』を高歌放吟しています。私はその姿を見て(もちろんこれが周到に用意され、作られたものであることは分かっていても)ちょっと小っ恥ずかしくなりましたし、一抹の恐ろしさも感じました。

しかし……この『国際歌』の中国語歌詞、いまとなっては中国政府に対するプロテストソングとして歌われてもおかしくないような時代になっちゃいましたね。

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