インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

常勤と非常勤の信頼関係

今朝の東京新聞に「オンライン授業 負担ずしり」という記事が載っていました。コロナ禍でアルバイト収入がなくなる一方でオンライン授業に必要な環境が十分に整備できない学生さんの苦境を報じたものです。

www.tokyo-np.co.jp

私が勤めている学校でも、今月の授業は緊急避難的にいくつかの課題をこなしてもらう形でしのぎ、五月以降はオンライン授業に移行させようとしていますが、本来予定していたカリキュラムからすればかなりのボリュームダウンになります。

記事には学生さんの声として「対面授業でないならば、100%のサービスが受けられていないのと同じ。授業料を減額してもいいのでは」という声が紹介されていました。たしかにそうだよなあと心が痛みます。私も自分の職場に、授業料の減免などは考えていませんかという質問を出したのですが、現在のところは考えていないとの返答でした。

また記事では別の学生さんの「オンライン授業の実現に向けたしわ寄せは学生に来ている」という声も紹介されています。パソコンや、ネットのつなぐための環境を学校側から援助してほしいということですよね。これもよく分かります。私の担当している学生さんは全員留学生ですが、オンライン授業に向けて調べたところによると、パソコンを持っておらずスマホだけという人も多いですし、家にWi-Fi環境がない人、あっても不安定な人、料金プランの関係で使い放題にはできない人など様々です。

一昔前に比べれば、オンライン授業を実現するための環境はかなり整っています。私も遅まきながら何ができるか、何ができないかを見定めつつ、オンライン授業のための情報をあちこち駆け回って集めています。が、学生さんのネット環境を考えると制限がかなり大きくて、「便利だから」と何でもかんでも利用するわけにはいかないところが悩ましいです。このオンライン授業以前のお膳立てについても、学生への支援は考えていませんかと職場に聞きましたが、やはりこれも現時点では「✗」とのことでした。

だいたい、教員の私たちだって自宅作業ですでに個人のパソコンやネット環境などをいろいろと「持ち出し」しているのです。ただ現在は緊急時ですから、そこまで学校に支給しろとは求めません(半年、一年と続くようならまた考えますが)。それに常勤の教員であればまだ給与は保証されているわけですし。

でも非常勤講師はそうもいきません。五月からのオンライン授業については非常勤講師の方々にもご協力いただくことになりますが、学校側が苦しいところだけうまく「利用」して、しわ寄せが学生さんのみならず非常勤講師にまで及ぶのはなんとしても避けたいです。というわけで学校側には、通常の対面授業よりコマ数が減っても、前例のないオンライン授業に対応するためご苦労いただくこと、今後も長く協力関係を続けていきたいという「誠意」を見せることなどを前提に、本来その月に支払われる予定だった報酬を満額支給してほしいと要望を出しています。

いまのところ学校側から回答は来ていないのですが、今回のコロナ禍が常勤と非常勤の信頼関係に影響しないことを願っています。あ、以上は常勤の立場からのお話。私は他に非常勤で関わっている学校もあるのですが、そちらはいまのところカリキュラム全体を後延ばしすることでコマ数を確保しようとされています。が、これも今後の状況次第で変化があるかもしれず、そのときには収入に影響するかもしれません。

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