インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

オンライン授業に欠けていたもの

台湾の大学に留学しようとする日本の学生が増えている。理由は、学費が安く、就職に有利だからーー。先日の新聞に、こんな記事が載っていました。

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中国語ができる人材=即戦力ってのが引っかかる上に、台湾の大学も様々なので安易な理想化は禁物ではないかなと思いつつも、こういう時代になったかと感慨深いです。遠隔授業中心の日本の大学より「期待通りに授業が受けられ」る台湾のほうがという需要もあるのかもしれません。これもまた、東アジアでは一番コロナ対策が後手後手に回ってしまった日本の、失政の影響と言えるかもしれません。

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https://www.irasutoya.com/2020/04/blog-post_283.html

勤め先の学校では学年末を迎え、オンライン授業などコロナ禍対応に明け暮れた今年度の総括を報告書にまとめているところです。書きながらこの一年を反芻していますが、日本の学生さんたち同様、外国人留学生にとっても明らかに負の影響が大きかったのではないかと思わざるを得ません。異国で一人パソコンやスマホに向かって学び続け、夏休みや年末年始に帰郷もできなかった……。その寂しさは想像するに余りあります。特に優秀な学生ほど「私は、一体ここで、何をしてるんだろう」と思ったみたい。

なかには、Zoomなどによるオンライン授業でしか学生と教師が接しない科目というものもあり、そのうちでも特に非常勤講師の先生方と学生との間に、相互信頼関係が構築されないまま一年が過ぎてしまったという事例もありました。専任や常勤の講師はまだ色々なチャンネルで学生とつながっており、時には登校日なども設けて直接の対話をしたり、相談に乗ったり、いろいろな
コミュニケーションが図られていたのですが、一部の非常勤の先生方はそういう「雰囲気」を醸成するチャンスなしに学生と向き合ってきたのです。そのため、教師の指導方法について疑問を呈したり、定期試験の採点基準について疑義を差し挟む学生が例年よりも有意に多かったように思います。

オンライン授業でも、やり方によってはゆたかなコミュニケーションを作り出すことはできると思いますが、そこはそれ、教師の方も初めての体験だったわけで、どうしても「痒いところに手が届かない」小さな局面が生まれます。そうした小さな局面が積もり積もって不信を育てて来てしまった……。これは一部の先生を管理する立場にある私にとっても、大きな反省点です。

もちろんすべての非常勤講師のオンライン授業に毎回つきあって「監督」することもできませんから、ある程度のコミュニケーションの齟齬は避けられないとは思うのですが、それにしても単に授業をオンライン化することにとどまらず、対面授業とはまた違った形の、それもメンタル面でのフォローなりケアなりがかなり重要なのだと、遅ればせながら気づいた次第。学生にも講師の先生方にも、申し訳ない気持ちです。

感染状況の進展によって、来年度の授業がどうなるかはいまのところまだわかりませんが、少なくとも今年の轍は踏まないようにしたい。そう思って総括を書いています。