インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

学生の自主性をも問うオンライン授業

先日Twitterで拝見したこちらのツイート、学びの本質がとても簡潔に表されていると思いました。

義務教育段階ではまだしも、大学や専門学校に入って自ら学びを選択したのですから、自分がどれだけ学ぶことができたかだけが重要で、他の人のことなど全く関係ないはずですよね。でもこういう「一生懸命出席して損した」的なマインドは学生さん(留学生も含む)の中に広く見られます。学期の最初に「この授業は何回まで休めますか?」と聞いてくるというのもよくあるんですけど、とにかく最小限の努力で最大限の利益を得たいというスタンスなんですね。ま、学生時代の私は決してそんなことなかったかといえば、かなり怪しいですけど。

ここのところ展開してきたオンライン授業でも、学校からは出席をきっちり取るように言われています。でも同期型双方向のオンライン授業(例えばZoomなどを使った授業)など、出席していてもいつの間にか画面をミュートしてサボっている人がいます。でも私は特に咎めません。もちろん学校である以上、そして卒業のあかつきには「〜士」という称号を与えることが許されている学校である以上、出欠や評価はきちんと記録しなければなりません。ですから私もやりますけど、本音では「学びたい人が学べばいいんだから出席なんて取らなくてもいいんじゃないか、サボりたい人はご自由に」と思っています。

オンライン授業をやってみての意外な発見は、これは教員のこれまでのあり方が否応なく問われるのと同時に「学生の自主性が一段と問われる」という点でした。時間を決めてオンラインで行う同期型の授業は、あらかじめ開始時間が通知され、授業によっては事前の課題なども提示され、スクリーンの向こうの教員やクラスメートと協力して学習に臨まなければなりません。また非同期の授業で課題が送信され、締め切りが設定されるというパターンもあります。

そうした一切のやり取りは多くのメールやメッセージやチャットによって行われます(といっても我々教員が扱ってる数からすればごく僅かですけど)。それらをちゃんと読み、然るべき対応を自律的にこなしていかなければなりません。社会人ならまあ当たり前のことですけど、そういった点も学生は問われるのです。つまりは学生自身が時間を管理し、パソコンなどの機材や教材などを整えて向き合わなければならない。

しかし実体としては個々人が一人きりですから、クラスメートと私語に興じるなんてこともできません。そのためか、元々受け身マインドだった学生はオンライン授業になってけっこう辛そうにしています。オンライン授業は、朝学校に来たらあとは何となく教室でセンセが来るのを待ってるといったマインドとはかなり違うわけです。つまり教師側から見ると、惰性で学校に来て漫然と座ってるだけという習慣の学生がこの上なく可視化されるという感じなんです。オンライン授業は対面授業以上に本人のやる気が問われるのですね。

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https://www.irasutoya.com/2017/01/blog-post_564.html

課題の提出状況も見ていると面白い(失礼)です。Google ClassroomなどのLMS(Learning Management System/学習管理システム)を使った非同期の課題では、学びに貪欲な学生はどんどん使いこなしてくるのに対して、逆の学生は課題提出が遅れた言い訳に「送信ボタンを押すのを忘れてました」などと言って寄こします。しかも何人もが同じ言い訳だったりして可笑しい。なるほど、リモート環境でお互いの動きが見えないからこそ、普段の授業以上に馬脚を露わしちゃうんですね。周りを見計らっての行動がしにくい(メールやLINEなどでできないことはないけれど、元々非積極的なマインドだからそこまで手間を掛けない)から。同様の理由で、教師側からはやる気のない学生のコピペや剽窃も一目瞭然です。

そういう学生も引っ張り上げてこその教育だという意見もあります。私もその批判は甘んじて受けますし、教案の改善に努力は惜しまない覚悟ですけど、学生さんにも「自分にとって何が一番大切か」をよく考えてもらいたいと思います。緊急事態宣言の解除に伴って学校現場も対面授業に復帰しつつありますが、私はオンライン授業の良い点は残して今後も使い続けたいと考えています。それは学生にとってもよい「学びの訓練」になるのではないかと。

対面授業のカリキュラムに何度かオンラインを挟むとか、対面が必須でない課題をLMSで出すとか、あと大雨や大雪の日なんかはムリに学校に来ないでオンラインでやるとか。この数ヶ月の実践で得たものを、ぜひ今後に活かしたいものです。