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インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ディクテーションのすすめ

先日の通訳スクールでは、台湾の江宜樺行政院長の記者会見映像を訓練に使いました。その晩に統一地方選惨敗の責任をとって辞任されちゃいましたけど。いえ、単なる偶然ですが。でもって今朝の新聞には馬英九大統領(総統)も国民党の主席を辞任というニュースが載っていました。

それはさておき、日本語母語話者の中には台湾人の発言や、中国でも南方の方の発言が苦手という方が多いです。リスニングが難しいのだそうで。圧倒的多数の方が北方一辺倒の中国語教育で学んできているので仕方がないんですが(私もそうでした)、意識していろいろな地方の方の発言を聴き、できればディクテーションなどして慣れて下さいと申し上げました。

日本人としては「全部取り」が正しい

教師の中には台湾の中国語(ってのもナニですね…まあ華語ですか)、例えば「和」を「han4」と発音したりするのを極端に排する方がいます。まあ初中級レベルだったらかえって混乱するでしょうから仕方ないと思いますが、実務レベルになったら北方も南方も関係なく幅のある中国語全体に分け隔てなく馴染んだ方がいいですよね。進んで仕事の幅を減らすことはないじゃない? 当事者であるチャイニーズ同士であれば教師も、「han4」なんて言わんとか、繁体字は無駄が多いとか、儿化音なぞ気持ち悪いとか、「漢語」なんて言わん「中文」だとか言いあってても仕方ないかなと思いますけど、外野の日本人はどちらにも与せず「全部いただきます」が正しいと思うんです。

南方や台湾の中国語を「訛ってる」「標準的じゃない」とおっしゃる方もいますが、確かに中華人民共和国の標準語としての「普通話」からすれば訛ってるのかもしれませんけど、それもこれも全部中国語なんですよね。そして仕事の現場では様々な地方の訛った「普通話」が飛び交ってる。どれが標準でどれが訛りだなんて立て分けはあまり意味をなさなくなるんです。みんながみんなCCTVのアナウンサーのように話さなくてもいいですし、よしんば自分は「標準的」な発音で話すとしても、様々な相手の様々な「訛り」を聴き取れなければコミュニケーションにならないでしょう?

江(前)行政院長の話しぶり

日本人が台湾華語に慣れるという意味では、江宜樺(前)行政院長の発言は絶好の教材でした。行政院開麥啦というこちらのチャンネルなどにたくさんありますが、言語明晰で理路整然としていて、冗語が一つもないの。ああ、こんなふうに話せたらいいなとほれぼれするくらいで、ディクテーションにも最適です。また台湾行政院のオフィシャルサイトにも多数の映像があって、こちらも勉強に使えます。ちょうど江院長の辞職会見がアップされていました。


行政院長江宜樺辭職聲明記者會- YouTube

江宜樺氏の政治的立場や業績について特に何かを言う立場にありませんし言うべきでもないと思いますが、氏の「話しぶり」についてはファンでした。たとえ原稿を読み上げる会見でも、自らの言葉として消化して話してるのが分かるから。日本の政治家との違いを感じますし、頭いいんだなあと思います。

ディクテーションのすすめ

ディクテーションは、リスニング力向上と語彙力増強にとても役立つ学習法だと思います。手書きじゃなくてパソコン入力でOK(ピンインで打つから発音の確認になります)。画面にWordなどのワープロソフトと音声(もしくは映像)の再生ソフトを立ち上げておいて、聴きながらどんどん入力していくのです。

ただ作業が面倒くさいと長続きしないので、まずはYouTubeなどの映像をダウンロードして再生ソフト(QuickTimeとかWindows Media Playerとか)から再生するようにし、なおかつキーボードから手を離さず続けられる環境にしておくことが大切です。再生ソフトの再生ボタンと停止ボタンをいちいちマウスで操作するのは面倒ですから。YouTube映像のダウンローダーはネット上にたくさんあります(フリーソフトも)から、検索して探して下さい。

でもって再生。QuickTimeなど、スペースボタンで再生と停止が操作できるものもありますが、ディクテーションなのでできれば聴き取りにくい箇所を何度も繰り返し再生したい。つまり停止したら少し戻ってもう一度再生……というのをなるべくストレスなしで実現したいところです。そこでWindowsの方は「おこしやす2」を、Macの方はとあるマクロを使うのがお勧めです。以前このブログにまとめたことがあるので、ご参考まで。

Windowshttp://qianchong.hatenablog.com/entry/20091221/p2
Machttp://qianchong.hatenablog.com/entry/2013/04/02/091409

私はもうかれこれ15年くらいディクテーションを趣味と実益を兼ねてやってます。趣味というのは、ディクテーション自体が楽しいから。特に聴き取れなかった部分を前後関係から辞書やネットで調べて「ああ、こう言っていたんだ!」と腑に落ちる瞬間が快感です。そうやって調べがついた部分は本当に自分のリスニング力として身についたような気がします。実益というのは、こうしてディクテーションした素材を学校の教材などに応用できるからです。特に「実況録音(原稿を読み上げる教材的な音声ではなく、生身の人間が自由にしゃべっている音声)」の教材はあまり多くないので、中級以上のクラスで使うのに最適な教材になってくれます。