某エージェントから技術文書翻訳のオファーがメールで届きました。このエージェントは登録している通訳者や翻訳者に一斉メールでオファーを出し、応募した人の中から仕事を割り振ると決めた人にしか返事を出さないーーつまりそれ以外の人は仕事の当日になるまでその仕事が取れたかどうかが分からないーーという、特にフリーランスで働いている方にとってはとても非情、かつそもそも商道徳に悖る没義道な会社なので私は完全にスルーしています。
ただ今回はそのオファーメールにあった「日簡翻訳」という言葉に目がとまりました。最初は「日韓翻訳」、つまり日本語から韓国語への翻訳を書き間違えたのかなと思ったのです。なにせこの会社は逐次通訳のことを「遂次通訳」とか、台北の松山空港のことを「愛媛県」などと書いてくるので授業の小ネタに事欠かない、もとい、通訳翻訳業への理解度が疑われる会社ですから。
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しかしメールをよく読むと、これは書き間違えたのではなく日本語から中国語簡体字への翻訳という意味で使っていることがわかりました。なるほど、中国語方向へ翻訳する場合、クライアントによって簡体字で書いてほしい、あるいは繁体字で書いてほしいという要望があります。それをひとことで「日簡」と。日は言語名、簡は文字の書体ですから強引といえば強引ですが、わかる人にはすぐわかります。
その謂でいけば、日簡(にっかん)のほかに日繁(にっぱん)や簡日(かんにち)や繁日(はんにち)という表現も成立しそうです。あたらしい日本語が生まれる瞬間に立ち会ったみたいで、なんだかとても新鮮に感じました。