先日、一斉メールで通訳者にオファーを出し、採用者以外には返事を出さないエージェント(通訳者の派遣業者)「X社」の話を書きました。
……と、またまた「X社」からオファーのメールが届きました。以前募集した案件の通訳者が足りないので、再度募集をかけますという内容です。
前日募集メールをお送りした本件ですが、現在「日中英」遂次通訳を3名は確保できており、あと1名を募集しております。
「確保」できている、という物言いもきわめてご自分本位だなと思いますが、まあこれは「坊主憎けりゃ……」の世界ですので脇に置くとして、我ながらなんともうかつなことではありますが、このメールで初めて気づいたことがありました。
「遂次通訳」?
通訳作業には大きく分けて「同時通訳」と「逐次通訳」があるのですが、この「逐次(ちくじ)通訳」を「X社」さんは「遂次(すいじ?)通訳」と書いているのです。思わずのけぞりました。一般の方ならいざ知らず、通訳者の派遣業務を行っている会社の職員が「逐次通訳」という言葉を知らないわけはないと思うのですが、これは一体どういうことなのでしょうか。
このオファーはメールで届いていますから、担当者さんはパソコンで文章を打っているはずです。「ちくじつうやく」と打てば、どう間違っても「遂次通訳」とは変換されないはずですが……にわかに気になって、gmailのアーカイブに入っている「X社」からのメールをすべて確かめてみたところ、「逐次」を「遂次」と書かれているのはとある担当者お一人だけでした。となると、この担当者さんだけは「遂次通訳:ちくじつうやく」という変換をご自分のパソコンのインプットメソッドに登録されているのかしら。なんとも謎すぎる展開です。
この件に関してTwitterでつぶやいたところ、このような情報が寄せられました。
ちなみに、Windows10のデフォルトのひらがな漢字変換では、「ちくじつうやく」と入力すると「逐次通訳」だけではなく「遂次通訳」という謎の変換候補も示されるようですので、もしかしたらそのあたりの問題もあるのかもしれませんが(苦笑)。 https://t.co/LB5KP98Wkk
— AnhSao(アンサオ)/のぞみセンター (@anhsao) 2018年2月23日
なるほど、インプットメソッドによっては「ちくじ」が「遂次」になることもあると(それもどうかとは思いますが)。これもにわかに気になって、自分のMacBook+ATOKで「ちくじつうやく」と打ってみたところ「築地通訳」が変換候補に並びました。わはは、「遂次通訳」よりはマシですかね。最近は築地も外国人観光客でにぎわっているそうですから。
もっとも、上には上がいるものでして、私の恩師のN老師によると、教え子さんのレポートで「逐次通訳」を「豚次通訳」と書いているものがあったそうです。とんじつうやく? わははは、わが家の豚児は豚次通訳などという得体の知れない仕事に就いておりまして、などとうちの親だったら言いそう。
http://www.irasutoya.com/
冗談はさておき、「逐次通訳」という言葉すらきちんと使えていない「X社」、ますます関わるのは遠慮したいなと思ったことでありました。ちなみに上記の再募集をかけた案件、日中英三言語間の通訳ができるという条件なので、元より私などお呼びではないのですが、それだけの高いスキルを求めているにもかかわらず、八時間拘束の日当は一般的なレートの半分程度。うまくみつかるといいですねー。