今朝の東京新聞、連載四コマ漫画の『ねえ ぴよちゃん』はこんな話でした。
なるほど、大の男が「期間限定グランドデラックスパフェ」を頼むのは恥ずかしいというわけです。深読みすれば、お父さんは一人でこのパフェを注文するのは恥ずかしいから、ぴよちゃんを誘ったのかもしれません。ちょうど昨日「男らしさ」について書いたところでしたが、なるほどこれも「あるある」だなと思いました。
東京新聞朝刊は最終面に「私の東京物語」というコラムがあって、いまは漫画家の吉田戦車氏が連載されています。その吉田氏は三十年ほど前に『伝染るんです。』という作品を描かれていたのですが、いまでも覚えているのがヤクザの兄貴とチンピラ子分との会話です。ネットで探したらなんと「Amebaマンガ」の試し読みに入っていました。
コワモテの男がアイドルショップでグッズを買うのは恥ずかしいと。しかも店員さんに対して「これは人に頼まれて買いに来ただけ」というアピールになる(実効性は乏しいですが)領収書さえ認めない……これに当時の私は大爆笑したわけですが、そこには男性ならではの「あるある!」が感じられたからなのでしょう。昨日ブログで引用した「サウナで見知らぬ人と我慢比べ」と同じくらいのくだらなさですけど。
ことほどさように、男には男らしくあれという「有害な男らしさ」が刷り込まれているわけです。でもその「男らしさ」なるものをもう少し注意深く観察してみると、何の根拠もない思い込みに過ぎません。誰が何を食べても、何を買ってもいいんですから。それでもこの「男らしさ」が一人自分の意識を変えるだけでは済まなくて、他人にも、そして社会全体にも広く共有されているからこそ、なかなか変わって行かないんですよね。
上掲のぴよちゃんにはそういう意識がないから無邪気に「このパフェはお父さんのでしょ」と言っていますが、店員さんの視線と苦笑はそのままお父さんの赤面に影響しています。いやまあ、マンガの中の世界にどうこう言いうのも野暮ですけど、ただこれも私たちの社会の現状をよく表しているなと思ったのです。
私自身、三十年前に『伝染るんです。』を読んだときとは違って、いまだったら一人でパフェを注文したり、アイドルショップでグッズを買ったりするの、普通にできます。「普通にできます」というところにまだ意志の力を必要としているのが透けて見えますが。でも、あれから三十年を経た現代の人々の(特に若い世代の男性たちの)意識はかなり変わって、そんな意志の力さえ必要ないくらい自然に、当たり前に、自分の気持ちを表現し行動に移すことができる人が増えていると思います。
もちろんこの国はまだまだ男性中心に物事が動いていて、その頑迷さにうんざりすることも多いですけど、少なくともいい未来に向かって進んではいる。そう楽観したいと思います。そのためにもまずは自分から声を上げ、どんどん行動に移していくべきですね。まずは……秋を迎えて栗のおいしい季節になったから、マロンパフェでも食べに行きましょう(そこから?)。