中央フィンランド(keski suomi)のほぼ真ん中にある都市、ユバスキュラ(Jyväskylä)にやってきました。ここにはお目当てだったアルヴァ・アアルト美術館と、中央フィンランド博物館があるのです。この二つは隣り合っているので、近くに車を停めたいなと思っていたら、目の前に駐車場がありました。……が、どうやら無料ではないらしい。実はずっと田舎を走ってきたので、きちんと駐車場に車を入れたことがなかったのです。
通りかかった街で路上駐車をしている車を観察していたら、みなさん車を停めてから近くにあるパーキングメーターみたいな機械のところに行って何やら支払いをしているご様子でした。それでこの駐車場でも同じような機械を見つけて、支払いをしてみることにしました。表示は全部フィンランド語なんですけど、「info」というボタンを押してみると英語表記が選べるようになっていました。他にも英国の国旗がマークになっているボタンやタッチパネルもあります。
英語の説明によれば、自分で停める時間を決めて、その分の料金を支払うみたい。とりあえず二時間ほど入力して、カードで支払うと、小さなカードが印刷されて出てきました。ここにタイムリミットが記載されていて、このカードをダッシュボードの外から見える場所に置いておくというシステムみたいです。その時間が過ぎると追加料金が課せられるのかな……って、チェックしている方などいませんでしたけど。このパーキングメーター、他の場所では車のナンバーを入力するよう求められる機種もありました。
アアルト美術館は、規模はそんなに大きくないけれども、彼らしい、というかこれぞ北欧デザインという建築や家具の数々が並んでいて、素晴らしかったです。北欧のデザインって、シンプルなだけじゃなくて、どこか無骨なほど素朴な印象があって、そこがいいなと思います。うまく言語化できないけれど、デザインしすぎていないところが普段使いにぴったりというか。
おとなりの中央フィンランド博物館は、なんと改修のため今年の末まで休館ということでした。残念です。駐車場の時間もまだ余っているので、その向こうにあるユバスキュラ大学のキャンパスを散策してみることにしました。キャンパスといっても街に溶け込んでいるような感じで、特に校門も塀もありません。それにしてもユバスキュラの街は人があまりいません。今は夏の休暇期間中だからなのかもしれないけれど、ユバスキュラに限らず、どこの街も人影が本当にまばらです。
キャンパス内はもっと人がいません。夏休みだからなのかな。大学構内特有の雰囲気を、中国の大学に留学していた頃など思い出しながらしばらくゆっくりと散策して、戻ってくると「oppilastalo」と書かれた建物が。えーと「oppilas(学生)」の「talo(家・建物)」だから学生会館ですね、たぶん。中に学食らしきカフェテリアがあったので、ここで昼食を食べることにしました。
食べているうちに学生さんや教職員とおぼしき方々でカフェテリアはほぼ一杯になりました。ということは、さっき人影がほとんどなかったのは授業時間中だったからなのかもしれません。
お昼ご飯を食べてから、ユバスキュラの繁華街にも行ってみました。繁華街でも人が少なくて、しかも爽やかな北欧の夏の気候です。いいですねえ。オープンカフェで、若い女性三人組のストリートパフォーマーを眺めながらお茶をしました。ギターやリコーダーなどの楽器と、三人の歌声がとても素敵なので、帰りがけにカンパをしてきました。
車を停めた教会前の公園そばにあるユバスキュラ美術館では、偶然日本人作家の展覧会をやっていました。佐藤裕一郎氏という方の作品で、最初私は写真展だと思っていたのですが、よく見ると緻密に描き込まれた木炭画なのでした。美術館のウェブサイトによると、佐藤氏は2016年にアーティスト・レジデンスでユバスキュラに1年間滞在されたのだそうです。