本を探している時にたまたま目にして、ネコのイラストにひかれて思わず買い、Kindleで一気に読んじゃった一冊。独特の書名ですが、これはかつて筆者のJam氏が友人から受けた一言だそうです。人間関係に悩んで、いつまでもそれを引きずって悶々としていたら、その友人に「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ」と言われたと。
なるほど、自分がこうやっていつまでも気にしているのと同じほど向こうは気にしてない、というかすっかり忘れてパフェでもほおばってる。ネガティブな気持ちながら、ずっとまるで「恋するように」相手のことを思い続けているのは意味がないというんですね。言われてみれば当たり前で、人は誰しも自分のことに一番興味があって、他人の事などあんまり、というかほとんど考えちゃいません。他人は自分が思っているほど自分に興味なんかないのです。この自分と同じように。
もう二十年くらい前でしたか、何の本で読んだのかも忘れてしまったのですが、相手が自分のことをどんなに憎もうが誤解しようが、それによって自分はちっとも変わらない。だから思い悩むだけ無駄……というような一節があって、なんだかやけに腑に落ちたことを覚えています。
そりゃそうだ。『スターウォーズ』に出てくる「フォース」みたいに、離れたところから物理的に影響を及ぼしうる力など人間には備わっていないのですから(人間にも質量がある以上、ごくごくごくごくわずかな重力が互いに働きますから、これだけは別ですかね)。そうなんですよね。他人がどう思おうと、他人にどう思われようとも、それによっては自分は変わらない。自分が変わるのは自分で変えるときだけなんです。まあ世の中には「生き霊」みたいなのが実際に影響を及ぼしていると信じる方もいますけど。
だからこれは、逆に自分の思いによって相手を変えることもできない(例えば呪い殺すとか)ということです。なので私は、SNSなどでネガティブなことを極力書かないようにしています。批判は書きます。批判は時に相手に届き、相手を変えることもあります。でも悪口は極力書きません。批判と悪口は違って、悪口では相手は変わらないと思うのです。
とにかく、ネガティブな感情のはけ口としてSNSを使わないというのが肝要かと思います。実社会で人に面と向かって言わないようなことはSNSでも言わない。そのために私は利用している全てのSNSで匿名ではなく本名を使っています。もちろん、ネガティブなことを極力書かないという「歯止め」がかかるのを期待してのことです。
最近、Twitterのフォロー数をど〜んと減らしました。あまりフォロワー数が多いとそれだけ多種多様な声がタイムラインに流れてきて(それがTwitterの魅力のひとつでもありますが)、自分がかき乱されるのがイヤだなと思ったからです。まあどんなにタイムラインが荒れようとも見なけりゃいいんですが、不思議なことにタイムラインが荒れていて濁流のようになっていればいるほど見に行きたくなるものなんですよね。例えは悪いですけど、台風の時に濁流を見に行って命を落とすみたいな、そういう危険な引力があるような気がしています。
ならいっそのことTwitterをやめちゃえばいいんですけど、Twitterにはこの他にもキーワードで検索をかけていろいろリアルタイムの情報を得られる(遅延情報など)とか、自分が興味がある人の発言から様々な啓発を受けるとか、それなりに楽しくて有用だなと思える部分があるので、今のところは「断捨離」してません。それでも以前に比べると使う時間はずいぶん減りました。スマホにTwitterアプリを入れないようにしたのが効果的だったかな。
相互フォローになっている方をこちらから一方的に外すのは何となく申し訳ない……といったような気分が頭をもたげますが、これも「他人は自分のことなどそれほど興味ない」し「他人がどう思おうとそれによって自分が影響を受けることはない」のだから、気にしない。歳を取ってよかったなと思えることの一つは、こういう「不義理」を別にどうってことなく思えるようになったことですね。もう最近は、電話には基本出ませんし、失礼なメールには返信すらしなくなりました。
あとこの本でもうひとつ、「おおっ」と惹かれたのは、「過剰な謙遜をするのは『お前は見る目がないと言うのと一緒やで』」という一節。これは中国語にも同じような格言(ことわざ?)があります。“過於謙虛等於驕傲(過ぎたる謙虚は驕りと同じ)”。せっかくその人のいいところに共感して褒めているのに、いつまでも「いえいえいえ、私なんか、とてもじゃないけど〜」と謙遜しまくる方は、確かにちょっとめんどくさいです、うん。
それから「何もしない時間も人生の大切な時間」というのもそうだなと。最近仕事も私生活もちょっとバタバタしていたんですけど、それは常にすきま時間に何かを詰め込み、スケジュールをこなそうとしているからだなと反省しました。もうすこし無駄に過ごす時間を持ってもいいですよね。
というわけで、風邪ぎみかな……と思ったときに飲む「葛根湯」みたいな一冊、おすすめです。