これまでに出てきた文型を三つ、復習しました。
第一文型
「A olla B」の形で「AはBである」を表すものです。
Tämä on kirja.
これは本です。
第二文型
「〜ssA on 〜」や「〜llA on 〜」のような「〜に〜がある」を表す存在文、「人称代名詞+llA on 〜」のような「だれそれは〜を持っている」を表す所有文がこれにあたります。
Pöydällä on kirja.
机の上に(一冊の)本があります。
このとき「kirja(本)」の諸相によって格が変わります。
①Pöydällä on kirja. →単数主格(ひとつ)
机の上に一冊の本があります。
②Pöydällä on kaksi kirjaa. →単数分格(ふたつ=ひとつ以外)
机の上に二冊の本があります。
③Pöydällä on kirjat. →複数主格(ぜんぶ)
机の上に全ての本があります。
④Pöydällä on kirjoja. →複数分格(いくつか=不定量数)
机の上に何冊かの本があります。
本のように数えられる名詞については、それが「単数(①)」か「複数(②③④)」かによって名詞が変化するということですね。しかも複数には「ひとつ以外の複数(②)」か「全部(③)」か「不定量数(④)」かの三種類がありえると。
数えられない名詞については、単数分格をとります。
Lasissa on vettä.
グラスの中には水があります。
「vettä」は「水(vesi)」の単数分格です。
第三文型
動詞+目的語、つまり「〜を〜する」という文型です。
Minä luen kirjan.
私は(一冊の)本を読みます。
このときも「kirja(本)」の諸相によって格が変わります。
①Minä luen kirjan. →単数対格(ひとつ)※単数属格と同じ形
私は一冊の本を読みます。
②Minä luen kaksi kirjaa. →単数分格(ふたつ=ひとつ以外)
私は二冊の本を読みます。
③Minä luen kirjat. →複数対格(ぜんぶ)※複数主格と同じ形
私は全ての本を読みます。
④Minä luen kirjoja. →複数分格(いくつか=不定量数)
私は何冊かの本を読みます。
この第一・第二・第三文型で、全体の約六割ほどを占めるそうです。フィンランド語は、目的語の諸相、つまりそれが単数か、複数か、複数なら「いくつ」という定量か、全てか、それとも不定量か……をあらかじめ念頭に置いて話す言語なんですね。
Hyllyllä on kirjoja.