インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ミルクフランス

「ミルクフランス」というパンがあります。ごくごく細くて小さいフランスパンに縦に切れ目を入れて、ミルク味のクリームが絞ってあるあの菓子パン、私は大好きです。ネットで検索したところによると、1981年にタカキベーカリーの広島工場で発案されたものなんだそうです。各地のパン屋さんはもちろん、いまやコンビニパンの定番とも言っていいほどポピュラーなミルクフランス。ここ十年ほどの間に普及したような気がしていましたけど、実際にはそんなに昔からあったんですね。

https://camelia.co.jp/magazine/book/178

上掲のこのページによれば、フランスではクリームのかわりにヌテラ(あのチョコレート味の定番スプレッド)を塗るのが人気なんだそうです。フランスパンにチョコレートとバターを挟んだのを渋谷のVironあたりで売っていますが、あれもおいしいです。私にとってはもう年齢的にかなり背徳の味になりましたが。

そういえば最近は「あんバターサンド」という、小豆餡とバターをパンに挟んだのもよく見かけます。パンに甘いものをダイレクトに挟んじゃうという、考えようによってはかなり武骨な菓子パンですけど、それがかえって食べ飽きない理由のひとつなのかもしれません。というか、日本には昔からコッペパンというものがあって、あれはまさにこうした武骨系菓子パンの嚆矢ですよね。ジャムとかピーナツバター、それもスティッキーズみたいなのじゃなくて、ソントン(懐かしい!)とかのを挟んだだけという。

それはともかく、ミルクフランスです。いまや街のパン屋さんではそれぞれに趣向を凝らしてミルクフランスが作られており、パンもフランスパンの生地だけでなく、より食感や口溶けのいいものに進化しているものもよく見られます。私はパン屋さんでミルクフランスを見つけるたびにたいがい購入していて、これまで一番おいしいと思ったのは新宿駅南口サザンテラスの入り口や渋谷駅の宮益坂下方向にあった(いまもあるかな?)ゴントランシェリエの「ヴィエノワミルククリーム」でした。

ヴィエノワ(viennois)というのは、小麦粉・水・塩・酵母だけのフランスパンとは違って、砂糖や牛乳や卵やバターなどが足された、お菓子寄りのパンらしいです。ブリオッシュなどに近いのかしら。フランスパンよりさっくりとした口当たりで、これはもうミルクフランスからずいぶん離れているような気もします。でもまあおいしいのでよく買っていました。で、きょう新宿は京王百貨店のデパ地下を通ったら、おいしそうなミルクフランスを見つけたのでひとつだけ買い求めました。それがこれです。

これもヴィエノワっぽい口当たりですけど、ちょっと分厚いシュー生地みたいな食感もあって、とてもおいしかったです。それにクリームにはきび砂糖がつかってあるらしく、かなり甘さ控えめでこれもいいなあと思いました。パンに巻いてある帯には「Junibun BAKERY」と書かれていて、ネットで検索したらなんと自分の家の近くに本店があるパン屋さんでした。京王百貨店には支店を出しているとのこと。知らなかった〜! こんどはチョコレートクリームを挟んだのと、あんバターを挟んだのも買ってみようと思います。