インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

F.O.B COOP

東京メトロ日比谷線広尾駅から西麻布交差点の方へ向かって少し行ったあたりに、かつて「F.O.B COOP(フォブコープ)」というお店がありました。1981年に創業されたお店で、輸入雑貨を販売し、カフェが併設されていて、いまではよくあるタイプの雑貨屋さん兼カフェの先駆けみたいなお店でした。でした、というのはこのお店は2015年に閉店してしまったからです。こちらにその時の記事があります。

広尾の老舗輸入雑貨セレクトショップ「F.O.B COOP」、35年の歴史に幕 - 六本木経済新聞

記事にもありますが、F.O.B COOPの代名詞的な商品だったのが「DURALEXデュラレックス)」社製のグラスです。丈夫で割れにくく安価、それでいて「おフランス製」ということもあってかどこかおしゃれなイメージもある業務用のグラスで、おそらくどなたも一度はカフェで、レストランで、あるいはラーメン屋さんで見かけたことがあるのではないでしょうか。このグラスを最初に日本に紹介したのが確かF.O.B COOPだったはず。


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F.O.B COOPから火がついたその後の雑貨屋さんブームで、とにかくこの「DURALEX」のグラスは広く売られていましたから、業務用のみならず、ご家庭で使用されている方も多いのではないかしら。かくいう私も、もういつ頃買ったのかも思い出せない(それだけ丈夫で割れにくい)このグラスを大小合わせていくつか持っており、日々使っています。

もうひとつ、F.O.B COOPで購入していまだに使い続けているのが、やはりフランスの業務用ガラス製品で有名な「Arcoroc(アルコロック)」社製のお皿です。1984年に購入しました(はっきり覚えているのは当時大学の浪人中だったからです)ので、なんともう40年近く使い続けていることになります。


Arcoroc, Mariella | Replacements, Ltd.

「Mariella」というシリーズの、アール・ヌーヴォー調の装飾がついたこちらのお皿はとにかく丈夫で、さすがに表面には細かい傷が目立ちますけど、いまだに三日にあげず使用しています。パスタをゆでてザルにあける際、その下に置いておいてお皿を温めるなどという「ずぼら」な使い方をしてもまったく平気です。

上掲の記事でF.O.B COOPのオーナーだった益永みつ枝氏が「うちの商品は長く使えるから買い足す必要がないのよ」とおっしゃっていますが、まさにその通り。シンプルでシックなもの、心地の良いもの、適正価格であること……が販売する商品を選ぶ際の基準だったそうで、私が使い続けているこのお皿もまさにそうだなあと思うのです。業務用だけど、丈夫一辺倒というだけではない、暮らしにちょっとした楽しみをくれるこうしたモノって大切だなと今にして思います。そうしたモノたちをいち早く日本に紹介してくれていたF.O.B COOPというお店もまた。