インタプリタかなくぎ流

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渋谷から書店が消えていく

東京は渋谷の東急百貨店本店7階に入っているMARUZEN&ジュンク堂書店が、百貨店自体の営業終了にともなって閉店するんですよね……。

www.maruzenjunkudo.co.jp

かつて渋谷にはたくさん本屋さんが、それも豊富な品ぞろえが魅力的な本屋さんがたくさんありました。私は中学生の頃から渋谷をうろうろしてきましたから、もうかれこれ40年以上この界隈の変遷を見てきましたけど、かつての本屋さんが多い街という印象は、いまの渋谷にはなくなっています。さびしいです。

私が好きだったのは、渋谷駅から公園通りに沿ってすぐのところ、西武百貨店のお向かいぐらいにあった大盛堂書店です。たぶんいまZARAがある辺りじゃなかったかな。間口は狭かったけど上の階までぎっしり売り場があって、奥のほうはけっこう複雑な構造だった記憶があります。あんまりポピュラーではない専門書なども多く揃っていて、いつもあの売り場で「ああ、一生かかってもここにある本をすべて読めないんだなあ」といった焦燥感みたいなものに駆られるのが常でした。

建て替えられる前の東急プラザには紀伊國屋書店が入っていて、246のむこうの桜丘町にある会社に勤めていたころは仕事帰りによく寄っていました。あと、比較的最近では(といってもかなり前か)東急百貨店本店手前のブックファースト(いまはH&Mになっています)とか、つい最近まであった旭屋書店(地下鉄の駅から直結で利用できて便利でした)とか、パルコのブックセンターとか……。

もちろんいまでも西武百貨店に移った紀伊國屋書店とか、マークシティの地下にある啓文堂書店とか、大きめの書店はあるんですけど。でもまあ、こういう流れは渋谷だけではないですよね。全国的に書店が消えつつある時代になったのです。

でも、そうやって嘆いてみせる自分だって、Amazonなどネット書店はそりゃもうさんざんっぱら利用してます。自分もまた、渋谷の書店がなくなっていく流れを作り出した消費者のひとりなのです。リアルな店舗に比べて格段に便利だから仕方がないのですが、ただふらっと大型書店に入って「本の方から呼ばれる」ようにして思いがけない本に出会うということがなくなるのは本当に残念です。

かくなるうえは、せめて大型ではないけれども店主さんの気概が感じられるような書店を大事にしなければ。私が最近ふらっと入っていいなあと思ったのは、高円寺駅前の文禄堂です。いま自分が住んでいる場所からはちょっと遠いのですが、近くに用事があるときは、なるべく足を伸ばそうと思っています。


https://www.irasutoya.com/2015/07/blog-post_51.html