インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

そんなに謝らなくても

昨日の東京新聞朝刊、諸岡カリーマ氏の「本音のコラム」。先日の雪で朝刊の配達が遅れる可能性があることを謝罪していた同紙に、ちょっとした違和感を覚えたとのこと。私もおなじように感じていました。

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さらに諸岡氏が指摘されている、ほんの数分の電車の遅れにも謝罪する日本の習慣がひょっとしてカスハラ(カスタマーハラスメント)を助長させているのではないかというのも同感です。私も通勤途中にしょっちゅう耳にしますが、あれは本当にいらないんじゃないかと。数分の遅れを謝罪されて、それで溜飲を下げるなんて乗客はいるのかしら。もともと電車の遅れは不可抗力によるもので気にしていない、あるいは仕方がないと思う人が圧倒的多数でしょうし、ようは誰にも必要のない謝罪じゃないか、ただ車内が騒がしくなってるだけじゃないかと思うのです。

いっぽう電車内で、本当に急いでイライラしている人は型通りの「お詫び申し上げます」程度じゃ収まらないでしょうし、むしろ型通りで「とりあえず謝っとけ」的な態度が声に出ちゃってるあの車内アナウンスにもっとイライラするんじゃないかしら。諸岡氏も指摘されているように、あのアナウンスの背景には「究極のプライド表現」が感じられます。このブログでも何度か書いていますが、中国語には“過於謙虛等於驕傲(過ぎたる謙虚は驕りに同じ)”ということわざがあります。あまりにも謙虚や謙遜がすぎると、人は逆にそこにその人の驕りや厚かましさを見出すものなんですね。