緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を今月末で解除するという政府の決定を受けて、飲食業のみなさんが「ようやく光が見えてきた」と語っています。テレビニュースはさっそく新橋駅前でサラリーマンに取材して(この「様式美」もそろそろ変えてみたらどうかなと思いますが)、飲み会の予定を入れたとか、久しぶりに友人と会って飲みたいなどといった声を拾っていました。
私は元々外で飲むことがほとんどない人間で、飲むどころか外食すらここ数年は月に一度あるかどうかという頻度になっていたので、コロナ禍に見舞われてからこちらも、その生活スタイルにはほとんど変化がありませんでした。そこへ持ってきて最近は飲酒自体をやめてしまったので、ニュースを見ていてもどこかその高揚感のようなものとは無縁の自分がいます。
ふと思い立ってお酒を飲まなくなってから40日ほどが過ぎました。あれだけお酒が大好きで、毎日飲まずにはいられなかったのに、なぜ急に飲まないでいられるようになったのか自分でも不思議です。ひとつにはアウトライナーで毎日記録をつけて「見える化」することで、その記録が積み重なっていくのが楽しくなった(=習慣化のコツです)というのがあると思いますが、やはり一番大きいのは歳を取ってもう飲めなくなった、身体が欲しなくなったからなのでしょう。
お酒を飲まなくなってから「お酒を飲まない暮らし」についての関心が高まりました。このブログでもすでに書いたいくつかの「禁酒本」を読んだのはそのひとつです。なかでも『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』に出てきた「ソーバーキュリアス(ソバーキュリアス/Sober Curious)」という言葉には、とても引きつけられました。禁酒とか断酒というと、どこか苦行のようなネガティブな響きがあるのですが、「シラフでいることへの興味」にはポジティブにそういう生き方を選んでいるという雰囲気が感じられます。
この“Sober Curious”という言葉は、Ruby Warrington氏の著書で広まったとされています。
その邦訳ももうすぐ出版されるということで、いまから読むのを楽しみにしています。
飲まない生き方 ソバーキュリアス Sober Curious
ソーバーキュリアスをキーワードにネットを検索すると、社会の中に「脱飲酒」を指向するさまざまな動きを見つけることができます。例えばFacebookには(現在ほとんど使っていませんが)「ゲコノミスト」というグループがあったので、参加してみました。また「ゲコノミクス」という言葉を冠した本もありました。
この本はまだ読んでいませんが、かつてはよく売れていたウイスキーのような強いお酒がだんだん売れなくなっているという話は聞いたことがありました。ウイスキーだっていまはハイボールとして飲まれるのが主流ですよね。チューハイもアルコール度強めのものがある一方で、低アルコールのものも以前に比べて多く出てきました。「微アル」というビールのジャンルも各社から出始めましたし、確かに下戸ないしはそれほどアルコールに強くない消費者をターゲットにした経済がこれから拡大していくのかもしれません。
お酒を飲まなくなってからはずっと、ソーダストリームで作った炭酸水を飲んでいます。いまのところほとんど飽きませんが、時々飽きたときに「じゃあ軽くビールでも」とならないよう、ノンアルコール飲料をあれこれ探しています。大きめのスーパーだと、以外にいろんな選択肢がありますし、先日はノンアルコール飲料を専門に販売するネットショップも見つけました。
アルコール依存症など、治療が必要なレベルになるとまた別でしょうけど、「シラフでいることへの興味」というスタンスで脱飲酒に移行したいという人にとっては、とてもそれがやりやすい時代になっているんだなあと思います。