インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

行けるうちに行こうと思っていた旅に行けない

中高年となり、人生折り返しどころか、へたをすると最終盤に差し掛かっているお年頃。周囲には「言霊ってこともあるから、よせ」と言われますが、人生の残りはそんなに多くないと常々思っています。もちろん長生きできれば「めっけもの」ですが、それだっていまの体調や健康状態が最後まで維持できるとは限りません。一度しかない人生、やりたいことは、できるうちに、どんどんやる。というわけで仕事を休めるときはどんどん休み、使える有給もどんどん使って、なるべく旅行にも出かけようと思っています。

ところが昨今のこのコロナ禍。ここ数年、毎年のように行っていた台湾の離島も、フィンランド語の学習とともに傾倒してきた北欧も、渡航できるようになる見込みは全く立っていません。さっき外務省の「海外安全ホームページ」を見に行ったら、「国・地域別の安全情報」の世界地図がほとんど紫色に。予想はしていましたが、こんな事態はたぶん初めてでしょう。大部分の国や地域がレベル3、つまり「渡航は止めてください」と渡航中止勧告を出されているのです。

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https://www.anzen.mofa.go.jp/

去年の夏はフィンランドの田舎ばかりをレンタカーでいきあたりばったりに旅行して最高に癒やされたので、今年はヘルシンキからトゥルクあたりのボスニア湾まで行って、そこから海岸線をひたすら北上し、湾の最奥部でスウェーデンに入り、今度はひたすらストックホルムまで南下し、最後にフェリーで戻ってくる(できればオーランド諸島やゴッドランドなどの島にも)……などという旅を夢想していたのですが、今の状態では絶対に無理です。というか、スウェーデンは都市封鎖などをせず「集団免疫」の獲得を目指していて、周辺諸国より飛び抜けた感染率になっており、さらに無理。今夏はおろか、来年だって難しいかもしれません。

じゃあってんで国内旅行を計画しようにも、これまた東京の感染状況がなんとも危うい状況なので、旅の予定を立てたり予約を入れたりするのも躊躇します。このまま東京の状況が悪化していけば、また都道府県を越えた移動の自粛が求められるかもしれませんし。こうした旅行業・観光業への影響は当初の予想以上に長く深く継続しそうです。

国境を越える移動が今後長期に渡って制限され続ければ、これまで以上に様々な業界への影響が深刻になるでしょうね。多くの留学生が在籍しているうちの学校でも、いまはまだ在校生がいますけど、数年のうちにはみなさん卒業してしまい、そして海外から日本に留学しにくる人が激減するでしょう。在籍期間が一年や一年半、長くても二年という日本語学校ではもうすでに大きな影響が出ています。それが専門学校や大学などにも広がっていくわけです。

別に自分ひとりだけの状況ではないので、嘆いても詮無いことなんですけど、人生の終盤に差し掛かってこんな状態になるなんて思ってもみませんでした。つねづね「老後にゆっくり旅行だなんて、そのときには旅行する体力すらなくなっているから、行けるうちにどんどん!」と思っていたのですが、その「行けるうちに」にこんなことになるなんて。日頃の仕事の忙しさやしんどさを、たまの旅行に倒れ込むようにして解消するのがルーティンだったので(あまりいい仕事の仕方じゃありません)、いまちょっと途方に暮れています。

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https://www.irasutoya.com/2016/02/blog-post_499.html