綠島は「マグロ推し」でしたが、蘭嶼は「トビウオ推し」のようです。島のあちこちでトビウオを使った料理が看板やメニューに書かれていました。そこで、海辺の「海の家」風な食堂で浜風に吹かれながら食べたのがこれ、「飛魚特餐」。セットランチですね。200元ですから日本円で700円ほど。
トビウオをまるまる一尾揚げたものと、茄子のピリ辛炒め、ニラ玉。手前の緑の野菜はそのちょっとツルムラサキみたいな土臭い感じからして芋の葉っぱじゃないかと思います。おかずはどれも美味しかったけど、特にこのトビウオ。ちょっとスパイスを効かせた唐揚げになってて、淡泊な白身にぴったりです。羽根のようなヒレを立たせて姿揚げにしているのもいいですね。
台湾でも南にある蘭嶼は当然ながら日差しも強くて暑いですが、日陰に入るとかなり心地よく、こういう冷房が効いていない場所でも特に不快に感じません。東京は日陰や木陰に入っても蒸し暑さが襲ってきますから、逃げ場がないですね。
食べ終わったら食器は道の向こう側にあるボックスに入れてね、と言われました。魚の骨も豚の餌にするので分けて捨ててと。なかなか気持ちのよい食堂でした。昨日書いたタロイモアイスもこのお店です。というか、お店の名前は「雯雯芋頭氷」なので、アイスの方が看板メニューなんですけど。
トビウオがあまりに美味しかったので、別の店で夕飯もトビウオのセットを食べました。
こちらは小ぶりのトビウオ唐揚げが二尾に、タコのサラダ、海草の炒めたの、地瓜(サツマイモ)、パパイヤの甘酢漬けみたいなの、豚のベーコンみたいなの、それにご飯。あと、スープがついて確か350元でした。
夕方の早い時間で席はけっこう空いていたんですが、カウンターに座るよう言われたので「他の席はダメ?」と聞いてみたら「予約の方で埋まってます」とのお返事。仕方なく薄暗いカウンターで食べましたが、結局食べ終わるまで予約席にお客さんは来ませんでした。
せめて「予約のお客さんが来たら移っていただきますけど、それでもいいですか?」的な心遣いがあったら嬉しいのになと思いましたが、まあ郷に入っては郷に従うしかありません。
外国を旅するときは、日本にいるときの七掛けか八掛けくらいで行動するのがいいかなと思います。自国にいるときと同じ感覚であれこれ求めないのが、ひと様の国を旅させてもらうときには大切かなと。
あ、でもこのトビウオのセットメニューも本当に美味しかったです。トビウオは骨が多い魚ですが、身離れが良くて食べやすいですし、からっと揚げてあるから小さな骨は食べられますし。
もうひとつ、トビウオを使ったトーストとおにぎりを出しているという、朝ごはんのみのお店に行ってみました。ネットで開店時間を調べて、その時間に行ってみたら、すでに長蛇の列でおにぎりは売り切れ。う〜ん、舐めてかかってました。そこで次の日は開店30分前にバイクをかっ飛ばして駆けつけましたが、それでもすでに並んでいる人がいました。
この屋台みたいな「掘っ立て小屋」がその朝ごはん屋さんなのですが、海を見下ろせる場所にベンチ式の椅子が何列が並んでいて、なかなか風情があります。
台湾でよくある、メニューが並んだ紙にチェックを入れる方式で、名前も書いておじさんに渡して、ベンチで海を眺めつつ待つことしばし。名前を呼ばれたら受け取りに行きます。トビウオのトーストは今日はないとのことで地瓜のトーストにしました。それとトビウオのおにぎりと豆乳。右のカップは無料の冬瓜茶です。
目の前の干した長靴がちょいとじゃまですけど……美味しそう。トーストは、割ってみると中にサツマイモのマッシュとゆで卵。なるほど、ポテトサラダのサツマイモ版という感じですね。ほんのり甘い味つけでこれは新鮮な味です。
おにぎりの方は、トビウオの身を甘辛味のそぼろ状にした感じのものがご飯の間に挟まっています。ご飯も黒ごまと青のりが入っていて風味豊か。
いや、これは開店前から並ぶ理由がわかりました。みなさんネットなどでよく調べていらっしゃる。今度訪れるときはぜひトビウオのトーストを食べてみたいです。