もうひと月以上も前ですが、切り抜いておいた東京新聞の記事です。
うちでは家事を分担していて、私は毎日の買い物と炊事、後片付けなどの担当なので、ほぼ毎日のようにスーパーに行っています。だもんで、この記事で筆者氏が紹介されている「中高年男性の買い物」観に、少なからず驚きをもって読みました。
数人に一人の割合で、わざとらしい仏頂面で買い物をしているひとがいることです。「どや」と得意になってるのはまだほほえましいですが、「どけ」と言わんばかりの仏頂面は、逆に悲壮感が垣間見えて哀れです。
(中略)
それでも「なんでオレが買い物なんかを」というイヤイヤ感を顔に出すのは、自分で自分を惨めに見せてしまいます。
へええ、そうなのか……。私は、冷蔵庫などの食材の残りと売り場に並んでいるお買い得な食材を頭の中で組み合わせてその日の献立を決めつつカートを推す……というスーパーでの買い物が何よりも大好きで、はっきり申し上げてこんなに楽しくてスリリングでストレス解消になる営みを妻に渡しちゃうなんてまっぴらごめん、という人間なので、仏頂面や悲壮感やイヤイヤ感というのがよく分からないのです。いや、ホントに。
というか、イマドキのフツーに健全で常識と教養のある男性諸氏だったらどなたでも、買い物でも洗濯でも保育園の送り迎えでも楽しんでやってるんじゃないかと思います。買い物カゴを持つのも、幼いお子さんを「前向き抱っこ」するのも。若い方々は特にです。
私は若くなくて、まさにこの記事に書かれているような「中高年男性」ど真ん中ですけど、そんな「どや」や「どけ」的な方、私が日参しているスーパーにいるかなあ、とやや疑問に思ってしまいました。
ただし、「お行儀の悪い」中高年は、性別を問わず数多くスーパーに出没しています。
1.
3本100円のキュウリが積まれた野菜売り場で、少しでも太くて大きくてキレイで真っ直ぐなのをゲットしようとキュウリの山を底まで掘り返して手に取り、ためつすがめつ眺めて吟味に余念がないおばさん。
私だってカビが浮いたようなのはもちろん買いませんけど、上からすっと3本取ればいいじゃん、と思います。1本33.33333…円なんですし、そこまで損得にこだわるのはなぜ? この「ためつすがめつ」は刺身のトレーや精肉のパックの前などでも頻繁に観察されます。
2.
牛乳売り場で、手前に置いてある1リットルのパックを全部脇にどけて、棚の一番奥までそれこそスジがつりそうな格好で腕を伸ばしていちばん新しい物を取ろうとしているおじさん。
賞味期限が少しでも長いものが欲しいんですね。私はこういうのは単に「はしたない」と思いますけど、この件を職場で話してみたら、かなりの割合で「当然。私も奥から取る」と言われて再度驚愕しました。そうなのか。この「何が何でも奥から」は卵や豆腐のパックの前でもよく遭遇します。
3.
野菜や肉のパックなどを両手に取って吟味したあと、選んだ方をカゴに入れ、選ばない方は棚にぽーんと投げて戻すおばさん。
自分が買わないものなら痛もうが傷つこうが形が崩れようが知ったこっちゃないというそのスタンス、お育ちが如実ににじみ出ています。あと、いったんはカゴに入れたものの「やっぱこれ、いらないわ」ってんで、別の売り場の全然関係ない棚に置いてっちゃう方も散見されます。冷蔵品を日用雑貨の棚に置いたりするんですよ。
4.
レジに並ぶ列が長くて、なかなか自分の番が回ってこないことに腹を立て、「何やってんだ、もっとレジ係を増やせよ!」などと怒鳴ってるおじさん。
怒鳴らないまでも「ったくもう、遅えな」とかぶつぶつ言ってるおじさんも時々います。んな、たかが数分程度の待ち時間じゃないですか。何を慌てることがありましょうか。血圧が上がりますよ。
5.
会計を済ませて袋に詰めるカウンターで、ロール状になっている薄いビニール袋を両手で「♪いーとーまきまき」よろしくぐるぐるぐるっと何枚も巻き取って自分の袋に詰め詰めしているおばさん。
家計節約術なんでしょうか。これこそまさに上記の記事がおっしゃるような「悲壮感が垣間見えて哀れ」です。
総じて、こういう行動に出ちゃってる残念なお方には「中高年」が多いような気がします。私は自宅近くにあるいくつかのスーパーを利用していますが、うちでは細君とひそかにその店名を「スーパーごうつく」とか「ごうつくストア」などと呼んでいます。だって「ごうつく(ばり)」な方があまりに多いんだもの。
そういう方々を目の当たりにするとこちらも血圧があがるので、なるべくそういう中高年の方々が行かないような時間帯、休日の開店後すぐとか、平日の夜遅めとかを狙って行くようにしています。あと大売り出しセールや「ポイント5倍デー」などもできるだけ近寄りません。それこそ目を血走らせ、肩をいからせ、神経を高ぶらせた「ごうつく」さんたちがたくさんいて、こちらの血圧も上がっちゃうからです。
……って、そういう「ごうつく」さんたちに思わず顔をしかめてしまう私こそ、はたから見れば「『どけ』と言わんばかりの仏頂面」になっていたりして、この記事の筆者氏に「悲壮感が垣間見えて哀れ」と評されてしまうかもしれません。いかんいかん。