インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

中年からの歯列矯正

  最近、歯列矯正に興味を持っている。
  これまで歯列矯正というと成長期の子供がするもの、成人してからの矯正は無理だと思っていた。それに何年間も目立つ器具を歯に装着し、食事や会話も不自由になるのではないかというようなイメージがあった。また健康保険がきかず、高額な治療費がかかるために私のような平民(笑)には無縁だと思っていた。
  ところが、知人から話を聞いたり、自分でいろいろ調べたりしてみると、ずいぶん偏った先入観を持っていたことが次第にわかってくる。
  まず、年齢の問題。歯が抜けたり、歯茎に大きな問題があったりする場合を除けば、何歳になっても矯正には全く支障がないのだそうだ。それから器具の問題。今はあまり目立たない、あるいは表から全く見えないような様々な器具が開発されており、矯正期間も以前に比べるとずいぶん短縮されているのだそうだ。さらに費用の問題。確かにお安くはないが、金利なしの分割払いなどもあって、決して払えない額ではない。
  この年になって、しかも特に美容に気を使うわけでもない男性なのに歯列矯正? というスタンスだったのだが、かなりたくさんある歯列矯正専門の歯科医はほとんどが初診相談料無料だというので、ここのところいくつかはしごしていろいろと説明を聞いてきた。
  その結果わかったこと。
  1.私は歯並びが極端に悪いというわけではないが、多少の凸凹が前後方向と上下方向にそれぞれある(うんうん、食べ物がつまりやすいから、三食後の歯磨きが欠かせない)。
  2.前歯が多少出ている(いわゆる「出っ歯」)のだが、下の歯も一般の人より前に出ているので、見かけ上極端な「出っ歯」に見えない。だが上も下も前向きに傾斜しているために、口先全体が少々前につきだした形になっている(うんうん、たしかにそうだ)。
  3.下の歯が前に傾斜しているために、普通は上の歯が下の歯に数ミリかぶさるようになるところが、ほとんどかぶさらない状態になっている。これは前歯で物をうまくかみ切れないという結果につながる(えっ、みなさん上の歯が下の歯にかぶさってます?)。しかし確かにそうだ。私は食事の時ほとんど前歯を使わず、すぐに奥歯に送り込んでそこだけでかむ癖がある。そのために奥歯やあごがときどき疲れて痛くなるのだ。
  そしてこれが一番驚いたのだが、歯医者さんいわく……

典型的な「○○○○症」です(難しくて忘れた)。下の歯の傾斜によって唇が閉じにくくなり、無理に閉じようとするために下あごの皮膚(いわゆる「梅干し」の部分)が引きつったようになってるんですね。それが一種不機嫌そうな表情を生み、顔が強面に見える結果を生んでます。

  ……そうだったのかあっっっ��( ̄□ ̄;)!!
  ほんの十数秒歯の形を見ただけで先生がこう言ったときは、驚いた。そうなのだ。私は子供の頃から口がぽかんと開いている癖があって、そのために「バカ面」とよくいじめられた。長じてからはなぜか強面と言われるようになり、普通にしていても「何かいやなことがあったの?」とか「怒ってる?」などと心配される始末。大陸や台湾でもよく“長得太嚴肅了(強面だね)”と言われたしねえ。
  医者というのは得てして「○○○○症」などと鬼面人を驚かす的なことを言いがちだという偏見があったのだが、これには感服。その道のプロはあなどれません。
  さあて、どうしよう。歯の噛み合わせに問題があることはわかったし、このまま放っておいて、年を取ってからもっとひどい状態になってもかなわないしなあ。しゃべるのが商売のサービス業なんだし、ここはひとつ矯正してみようかな。でも二年くらいはゆうにかかりそうだしなあ。