インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

しまじまの旅 たびたびの旅 82 ……たこ焼きとカンテ・グランデ

子供の頃と浪人生時代に住んでいた大阪には、思い出の場所がたくさんあります。まずはたこ焼きの「うまい屋」さん。天神橋筋の商店街にあるこのお店は、いたって庶民的なたこ焼き(+夏にはかき氷なども)屋さん。ここも「自由軒」同様、たこ焼きをつまみにビールを飲んでいるおじさんがいたりします。私は「バヤリース」のオレンジジュースとたこ焼きにしました。

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こちらのたこ焼きは、ソースや青海苔や鰹節やマヨネーズなどが一切かかっていないのが特徴で、出汁味だけで食べるたこ焼きです。物足らない向きにはテーブルにソースの容器が用意されています。

「うまい屋」から中津に移動して、「カンテ・グランデ」。大阪では有名なインド風(というか無国籍エスニック風)カフェです。大阪市内にいくつか支店がありますが、中津のこのお店が本店。もともとはオーナーさんのご自宅を改装してカフェにしていらして、当時私も足繁く通っていたのですが、その後ご自宅の敷地はマンションになり、カフェはその地下に移りました。

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地下といっても緑あふれるパティオみたいなのがあって、店内はとても明るくゆったりとした雰囲気です。周りは小学校や神社以外特に何もない普通の住宅地なんですけど、そこにこんなある種の異空間があるのが面白い。

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カンテといえば、インド風ミルクティーの「チャイ」。スパイスの入ったチャイと、これも何十年も前からの定番「ゴータマ・ショコラ(チョコレートケーキです)」を注文しました。懐かしいです。

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昔よく聞いたシンガーソングライターの友部正人氏にはその名もずばり「カンテ・グランデ」というアルバムがあります。「君はこんな言い方嫌かもしれないけど」とか「ルナ・ダンス」とか、これもまた懐かしいです。

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引き続きミナミに移動して、なんばグランド花月横の有名なたこ焼き屋さん「わなか」。一番大阪らしい、定番のたこ焼きじゃないでしょうか。色々トッピングもありますが、定番中の定番、ソース・青のり・鰹節にマヨネーズもかけてもらいました(マヨネーズは邪道かな?)。

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……しかし。

ここまで「はしご」して、ふと思いました。せっかく久しぶりで大阪へやってきたというのに、結局昔の思い出めぐりばかりしていますね、私。まるですでに人生をあらかた走りつくし、生涯を回顧しはじめた老翁のようではありませんか。これではいけません。そうだ、「大阪へやってきた」というのも友部正人の歌にありました……おっと、また回顧に走っていますね。

しまじまの旅 たびたびの旅 81 ……京都の春巻と大阪のカレー

小学生の頃、京都市大阪市のちょうど中間あたりにある枚方(ひらかた)市に住んでいました。家族で出かけることが大好きだった両親は京都・大阪・奈良の様々な場所に連れて行ってくれたのですが、子供だったせいか、神社仏閣はさておき、あちこちで食べた「おいしいもん」の印象が深いです。

今回、京都では「ハマムラ」さんに行ってみました。昔からある広東料理、といっても京都風のあっさり味が特徴の中華料理店です。先般読んだ姜尚美氏の『京都の中華』でも紹介されていました。


京都の中華

現在は場所が変わっているこのお店、子供の頃に一度連れてきてもらったような記憶があるのですが、定かではありません。ただこの「ハマムラ」という文字を使った横顔のロゴマークが強烈で、よく覚えているのです。

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https://kyoto-chuka-hamamura.owst.jp/

ハマムラさんでは「春巻き」と「豚天」と「からしそば」を食べました。いずれもこのお店の名物です。

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この春巻きが食べたかったのです〜。餡は筍をはじめとした野菜が中心で、京都中華の名の通り、極めてあっさりした味わい。このお店に限らず、関西の中華料理店の春巻きはこういうスタイルもよく見られます。子供の頃、法事か何かで親戚一同が集まると大概中華料理店のお座敷で食事になって、大きくて赤い円形テーブルにこの春巻きが並んでいました。酢や醤油で食べてもいいけど、塩胡椒をつけて食べるのもいいんですよね。

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豚天(豚肉の天麩羅)も、分厚いお肉ながら柔らかくて美味しいです〜。しかもさすが関西、味が薄くて本当に助かります。

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からしそばは「あんかけ焼きそば」ふうなんですけど、あんにほんのり芥子の風味がついているのです。麺も独特の食感で、全体はもちろん薄味です。東京で外食をすると、ほとんどの場合私には塩辛すぎるので、京都のこうした中華、本当に魅力的です。

大阪は浪人生時代に予備校へ通っていた場所なので、かなり土地勘があります。……が、それでも数十年経っていますから、当然かなり風景は変わっていました。特に梅田の阪急百貨店のあたり。大阪では、なんばの自由軒に行きました。ここも親に連れてきてもらったお店です。

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ここは織田作之助が愛したお店というふれこみで、カレーとご飯をあらかじめ混ぜ、上に生卵をのっけたものが名物です。ソースを回しかけて、全体をよくかき混ぜて食べるという……。

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このカレーを「おつまみ」にビールを飲んでいるおじさんがいたりして、店内はいたって庶民的。中国語圏からと思しき観光客の方も数組お見かけしました。

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道頓堀でポロシャツを買ったお店の店員さんに聞いたのですが、最近はお店の売り上げの約半分が中国語圏からの観光客によるものだそう。その言葉を裏づけるように、心斎橋からミナミにかけて、さまざまな地方の中国語が飛び交っていました。

しまじまの旅 たびたびの旅 80 ……夏の終わりの京都

所用で関西地方に行くことになり、せっかくなので京都で一泊してみました。仕事以外で京都に来るのは、十数年ぶりです。夏の終わりの京都は、ある意味「季節はずれ」にあたるらしく、観光客は比較的少ないそう。それでも有名な観光地にはやはり大勢の方が。外国からと思しき方々も数多く見られました。

というわけで、まああまり時間もないこともあり、有名観光地は全部パスして超有名な知恩院……のとなりの青蓮院に行きました。タクシーの運転手さんは「青蓮院? 渋っ!」と笑っていました。

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運転手さんに渋いと言われるだけあって、あまり観光客がいません。まあ確かに、お庭と建物以外はそれほど見るものがない(失礼)のです。でもここのお庭、実はJRの「そうだ、京都行こう」のポスターに使われたこともあるんだそうですよ。

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http://recommend.jr-central.co.jp/others/museum/kyoto/summer_1995_01.html

確かに、畳に正座して庭を眺めていると、それほど暑さを感じませんでした。

お宿も、せっかくなのでホテルじゃなくて京都らしい和風の旅館にしてみました。

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京都の町屋は奥行きが深くて、途中に小さな中庭があったりして、でもって鈴虫が鳴いていたりして、なかなかいいですねえ。

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夕飯に思いがけず、鮎が出ました。この夏一番最後の鮎だそうです。竹の葉でいぶすというのが何とも京都らしくてすてきです。

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どの料理もさすが京都らしくかなり薄味で、ホント、底力がすごいな〜と感嘆することしきりでした。

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旅館の共用スペースには、ハンス・ウェグナーのベア・チェアや、フィン・ユールのイージー・チェアなんかがさりげなく置いてあったりして、これもすてきです。うれしくて、はしたないけど、ひとつひとつ座ってまわりました。

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qianchong.hatenablog.com

踏みとどまって引き返す

節酒つながりで、小田嶋隆氏の『上を向いてアルコール』を読みました。


上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白

小田嶋隆氏については、以前のご著書も何冊か読み、日経ビジネスオンラインでの氏のコラムには毎回膝を打ち、氏が講師を務める文章講座にも通ったことがあって*1、まあ何というか、私は氏の文章のファンなのですが、今回ばかりはちょっと「引き」ました。

いえ、氏の筆致は、むしろこれまでの著作やコラムよりもぐんと和らぎ、アルコール依存とネット依存の類似性について述べた最終章はやはり炯眼だなあと思ったのです。ですが、なにせ「アル中」でいらした時期の行動がちょっととんでもない。まさに「ドン引き」というやつです。アルコールと体質、それに精神がある不幸な出会いなりマッチングなりをしてしまうと、こうなっちゃうのか……と、引きながらも引き込まれました。

私も若い頃、特に大学に通っていた頃は、お酒がらみでいろいろ「やらかし」たものですが、それでも私の「やらかし」はカワイイもんだったというか、ほとんど人畜無害だったと思います。小田嶋氏のこの「告白」を前にしては。

それでも、私にだってそれなりに暴飲を重ねてきた数十年の歴史があります。あのまま暴飲を続けていたら、じきに肝臓をはじめとする臓器をやられ、その影響が身体全体に及び、ひいては精神まで病んでいたかもしれません。節酒という段階ではありますが、ここで引き返しておいてよかったと思った次第です。

もっとも、私が引き返したのはおそらく加齢の結果「もう飲めなくなった」からで、心身をやられるより前に、自分の一生分の飲酒量という貯金を使い果たしたという感じなのでしょう。でも、これは牽強付会でしょうけど、この年代で「引き返す」ことができるかどうかって、老後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)に大きく関わってくるような気がします。

レーニングを始めてもうすぐ一年。あそこで身体の不調に音を上げて自発的に身体を動かし始めていなかったら、きっと老後に到るまでこのレベルのハードな運動をする気力や体力をふるう勇気は失われていたかもしれません。そうなればあとはもう老化まで一直線、いや急降下です。

そういう意味で、それまでの人生と今後の人生を慣性の法則に任せたままにするのではなく、踏みとどまって引き返す、あるいは大きく方向転換できるかどうかというのが、この年代の私たちにとって死活的に大切なのではないかと感じています。

いや、これは何も飲酒や食生活、運動などに限らないですね。それまでに蓄積してきた知識や常識、あるいは経験値の見直しないしは刷新も必要で、それが「老害」へと到らないための小径(うっかりすると見落としかねないという意味で)なのかもしれません。

*1:参加者全員に小田嶋氏から毎回短いコメントを頂戴できるというのが特典の講座でしたが、私はここで、自分がいかに文才のない人間であるかを痛いほど思い知らされることになりました。

節酒を続けていられる理由

今年の夏はあれこれの用事も含めて都合三週間も台湾に滞在していたのですが、最初と最後の日を除いて三週間ほとんどお酒を飲みませんでした。

根っからのお酒好きで、以前はほぼ毎日晩酌を欠かさず、ひと晩にワインを二本以上空けても(それも一人で!)平気で、あまつさえお酒に関する資格まで取ってしまった私からすれば、夏に、南の島で、明日は仕事の予定が入っていないというシチュエーションでお酒を飲まないなど、数年前までは絶対に考えられないことでした。

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https://www.irasutoya.com/2017/12/blog-post_88.html

とはいえ、こうなるまでには色々な伏線がありました。

まずは「天命を知る歳」を過ぎてからの、男性版更年期障害とでも言うべき不定愁訴です。あまりにつらいので、食生活を見直し、週に二回から三回の定期的なパーソナルトレーニングを始めました。それと同時に節酒にも取り組んでみたのです。

食事の質+量の調整と、体幹レーニングと筋トレを中心にした運動はもう一年近く続いています。おかげでまず肩凝りが全くなくなり、次に午後の倦怠感と膨満感が薄れ、腰痛も起こりにくくなりました。全体的には以前よりとても健康になったと思います。それでも節酒だけは実現できていませんでした。

ところが。

ここ二ヶ月ほど、週末を除いてほとんどお酒を飲まないようになりました。私は昼間からお酒を飲まずにはいられないといったような「アル中」ではない(と思う)のですが、夜の食事にお酒がないのは味気なくて、以前は最低でも必ずビールは飲んでいました。「飲まないと今日の労働が報われない」とか何とか、ごたいそうなことを言って。

それがあるとき、炭酸入りの梅酒(ウメッシュ)でもほぼ満足できることを発見しました(と言うほどのことではありませんが)。さらにウメッシュは甘すぎるので、これをスパークリング・ミネラルウォーターに変え、それでもほとんど飲酒欲は消えるようになりました。

どうやら私は、炭酸の泡さえあれば、それだけで「夜の食事の味気なさ」を克服できるくらい単純な人間だったようです。別にビールじゃなくてもよかったわけです。

お酒を(ほとんど)やめて変わったこと

まず、当たり前かもしれませんが、体調がすこぶるよいです。お酒を飲んだ次の日の朝の、あの何ともどんよりとした心と身体が全くなくなりました。そして、長年(もう何十年間もです)そこはかとない痒みに苛まされ、それでも軽症なので何とか騙し騙しつきあってきたアトピーと頭皮湿疹がかなり軽快したのです。

とくに今回、三週間台湾にいるうちに、アトピーと頭皮湿疹は全くなくなりました。残念ながら東京に戻って少々「復活」してしまったのですが、なるほど私のアトピーや頭皮湿疹は、気候風土や水や食べ物、東京のストレスフルな環境、そして何よりお酒が主因だったのですね。

それともうひとつ、夜の時間が長くなりました。以前お酒を浴びるように飲んでいた頃は、飲んでしまうともう大したことはできませんでした。本を読むのも億劫だし、SNSに向かうのも危険(酔った勢いでとんでもないことや、かなり恥ずかしいことを書き込んでしまうから)。まあせいぜいマンガをぱらぱらめくるか、テレビを見る程度です。それがお酒を飲まなければまるまる読書や文章書きや家族との会話に使えるのです(この文章もお酒を飲まなかった夜に書いています)。

そして、節酒をある程度続けていると、この爽快な状態を維持したくて、お酒を飲んでしまうのが何だかもったいなく思えてくるのです。ここまで来てしまうと(習慣化してしまうと)かなり楽です。

台湾で節酒や禁酒がやりやすいわけ

台湾、それも離島にいるときはバイクのレンタルが必須です。公共交通機関が乏しいか全くないので、バイクがなければほとんど何もできません(運転手を雇うようなセレブは別ですが)。街にバイクで出て食事をしても、またバイクで宿まで帰らなければなりません。それもお酒を飲まない(飲めない)一つの理由です。飲酒運転なんて、それも人様の国で法を犯してまでなんて、論外ですからね。

それに、台湾の皆さんは夕飯時にもお酒を飲まない人が多いんです。あ、もちろん飲む人はがんがん飲むんですけど、屋台や食堂やレストランで夕飯を食べていても、よく観察してみるとお酒が並んでいないテーブルは多いです。会社の接待なんかだと別ですが(私もかつて死ぬほど飲まされました)、家族で食事されている方など、お酒を飲まない方は意外に多い。

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じゃあ何を飲んでいるのかというと、甘いお茶やジュースなんかのペットボトルを食堂の冷蔵庫から取ってきて飲んでいるんですね。台湾の食堂やレストランではこういう、飲み物はセルフサービスで取ってね、というお店が多いです。

以前は、せっかくの美味しい台湾料理なのに、あんな甘ったるい飲み物ではもったいないな、などと思っていました。それがここへ来て「これも結構アリ」に思えてきたのですから、ホントに人生、何が起こるか分かりません。

なんというかな、台湾の、それも夏のちょっとまだ昼間の暑さが残っているような、それでも夜風が心地よい夕刻に、極めてあっさり薄味の台湾料理に合わせる甘い飲み物がやけに優しくて、身体に沁みるのです。もちろん熱いお茶でもいいんですけど、ほの甘麦茶とかグァバジュースなんかがなぜか沁みるの。

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あとこれは私だけの感覚かもしれないけど、台湾のお酒屋さん(「菸酒店」といってタバコとお酒を売っている専門店みたいなの)って、ちょっと独特の雰囲気なんですよね。コンビニは別ですが、専売店は何とも形容しがたい、一種独特の不健康かつ奢侈感満載の雰囲気(失礼)があって、あまりお酒に食指が動かないのです*1

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台北・林森北路付近、酒屋さん脇の路地。「五木大学*2」とも言われるこの辺りは日本人向けの飲み屋さんが多いです。

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▲澎湖・馬公市の高級ショッピングセンター「Pier3三號港」のウィスキー売り場。免税店も兼ねているので、富裕層向け(?)かウィスキー博物館が併設されていました。

……とまあ、そんなこんなで、台湾から戻っても節酒(断酒じゃないです)生活、続いています。次なる課題は、せっかく平日は完全にお酒を断っているんだから、週末くらい……とお高いブルゴーニュあたりのプルミエ・クリュとかグラン・クリュなんかを衝動買いしそうになる欲望を抑えることです。

*1:台湾のドラマを見ていると、登場人物がお酒を飲むシーンでは「飲み過ぎに注意しましょう」的なテロップが入っていることがあります。お酒についての節制は、少なくとも政府の方針としては日本よりよほど強いものを感じます。

*2:林森だから「五木」。また五木大学で学ぼうぜ、などと誘われたりしました。今ではもう死語かしら。

高級瓶詰めウニを炒める

山口県産の、とても上等な瓶入りの塩ウニを頂きました。小さな瓶ひとつで数千円もする高級品です。ウニは大好きなのでとっても嬉しいんですけど……正直言いまして、あのエチルアルコールの香りが少々苦手です。封を開けて一口食べてみたんですけど「やっぱり、だめ〜」。

というわけで、台湾で食べた「海膽炒蛋」にヒントを得て、ひと瓶丸ごと卵と一緒に炒めてみることにしました(ごめんなさい)。「海膽炒蛋」はその名の通り、生ウニを卵と一緒に炒めてスクランブル状、あるいはオムレツ状にしたものです。こちらは澎湖小門嶼の食堂で食べたもの。

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こちらは澎湖七美嶼の港で食べたもの。ケチャップが添えられています。

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卵に混ぜて、ネギのみじん切りも足して、塩ウニに塩分があるので味つけは全くせずに炒めてみました。結果、アルコールがほどよく飛んだのか、すごくおいしかったです。

それにしても、高級瓶詰めウニを炒めるなど、生産者の方々からすれば噴飯ものかしら……と思ったのですが、試みにネットを検索してみると、当の生産者である「山口県うに協同組合」のウェブサイトで「瓶詰めうにを使った料理レシピコンテスト」というのが開催されており、みなさん既にばんばん炒めちゃってました。

https://uni.or.jp/unirecipe/

ここだけの話、やはりみなさんもあのエチルアルコールの香りはいかがなものか、と思ってらっしゃるんじゃないかなあ。あと、どうでもいいことですけど、塩ウニの瓶って、ガラスがものすごく分厚くて、瓶の外観のわりにはちょっとしか入ってないですよね。それでもガラスによる屈折のせいか、外観からは瓶いっぱいに入っているように見えるんですよね。

……みみっちい話で失礼いたしました。

追記

Twitterでこんなレシピを教えていただきました。

なるほど〜、もうひと瓶「うにさざえ」があるので、さっそくやってみたいと思います。こうしてみると、瓶詰めのウニは「そのまま(お酒のおつまみなどとして)食べる」というのが一番「芸のない」食べ方なのかもしれません。

さらに追記

というわけで作ってみました。これは美味しい〜! アルコールの香りがほとんど飛んで、とても風味豊かです。

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フィンランド語 21 …変格と出格

また新しい格が登場しました。「〜に変わると」という意味を表す「変格(へんかく)」で、語尾は「-ksi」になります。

Finland on suomeksi Suomi.
フィンランドは、フィンランド語で(フィンランド語に変わると)Suomiです。

なるほど、語学学習でよく用いられる「〇〇は××語で言うと●●」というパターンですね。「××語で言う」というのを「××語に変わる」ととらえ、変格を使うというわけかな。

ということは「Finlandはフィンランド語で言うと何ですか?」にあたるのは「Mikä on “Finland” suomeksi?」でいいのかな?

……と思いましたが「Mitä “Finland” on suomeksi?」になるそうです。なぜ「Mikä(何)」が分格の「Mitä」になるのか謎ですが、これは今の段階では難しいので、あとで教えてもらえるそうです。まあ、語学はこういうところは清濁併せ呑んで、100%の解明を目指さないのが長続きするコツなので、とりあえず先に進みます。

もうひとつ「出格(しゅつかく)」というのも登場しました。「〜から出てくる」を表す格だそうです。語尾は「-stA」です。

Mistä sinä olet kotoisin ?
あなたはどこの出身ですか?
Japanista. Olen japanilainen.
日本です(日本からです)。私は日本人です。

なるほど疑問詞「mikä」も出格の「mistä」になるんですね。そして答えるときも出格で答えると。格はまだまだ後ろにたくさん控えていて、しかも単数と複数の区別もある……ぼちぼち学んでいきましょう。

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Oletko sinä kiinalainen vai korealainen?
En ole kiinalainen enkä korealainen vaan japanilainen. Olen Tokiosta.

しまじまの旅 たびたびの旅 79 ……おみやげ用の牛軋糖(ヌガー)二選

台湾のおみやげといえば「鳳梨酥(パイナップルケーキ)」が有名ですが、昨今は東京にも微熱山丘のお店があって、しかも東京限定の薄くアイシングがかかった「りんごケーキ」のがことのほか美味で人気があったりして、わざわざ鳳梨酥を台湾から買って帰るのもちょっと心ときめきません。

それでここのところは、台湾のおいしい手作り「牛軋糖(ヌガー)」を探しておみやげにしています。有名な糖村もいいですし、ホテルオークラのベーカリーで売っているのもおしゃれなパッケージでおみやげ向きなんですけど、今回はネットで台湾の方々がお勧めしている二店に寄ってみました。

櫻桃爺爺

捷運萬隆駅ちかくの小さな本店の他に、松江南京駅ちかくにもお店があります。

www.cherrygrandpa.com.tw

ミルク味の「原味」の他に、芒果(マンゴー)、蔓越莓(クランベリー)、黑芝麻、咖啡、巧克力(チョコレート)、火山豆(マカデミアナッツ)、紅茶、地瓜(サツマイモ)……と味のバリエーションが豊富です。単品も売ってますが、四種類を取り合わせたアソートパックが何種類かあっておみやげに最適。

どれも500グラムぐらい入った大袋ばかり(下の写真の左側)なので、願わくばもう少し少量のパックがあると、よりおみやげにしやすいんですけど。このあたり、中国語圏の方々はおみやげというと「とにかく大きさ!」みたいなところがあるので、その反映かしらとも思います。


利亞德Candy's手工牛軋糖

捷運劍潭駅ちかく、承徳路が基隆河を超える橋の脇をすり抜けていった先にある目立たない小さなお店です。というか、行ってみて初めて分かったんですけど、こちらは工房で、店頭販売はほとんどやっていないよし。ネット販売がメインなんだそうです。



https://candy951007.weebly.com/

それでもネットで探して来たと伝えるとすごく喜んでくださって、出荷前の一部を分けてくれました。すみません……。味は焦糖杏仁果(キャラメルアーモンド)と蔓越莓南瓜子(クランベリーとかぼちゃの種)二種類だけで、かわいい小さな箱に入っています(上の写真の右側)。

お店はご夫婦(たぶん)二人だけで切り盛りされているようで、こちらのヌガーは手作り感満載です。ひとつひとつキャンディのように紙に包まれているんですけど、普通キャンディの包み紙って左右に引っぱると捻っているところがほどけるようになっていますよね。それがこのお店のはそうなっていないくらい手作り感満載(くだらない視点ですみません)。

お店のオーナーはかつて、六歳の次女を小児ガンのために亡くしたそうで、その娘さんのために防腐剤など一切使わない健康的な手作りヌガーを作ってあげたいというのがお店のそもそもの始まりであり「ブランドストーリー」でもあるのだとか。パッケージにもその一端が綴られています。

www.ttv.com.tw

台湾ではヌガーを手作りする家庭も多いようで、私も留学生から「これ、うちのお手製です」と手作りヌガーを頂いたことが何度かあります。まさにそんな家庭の味で、甘さはかなり(本当にかなり)控えめで、ナッツ類多め。今のところ私はこちらのお店のヌガーが一番おいしいと思います。ヌガー以外では「堅果酥(ナッツ類を「おこし」のように固めたもの)」もかなりおいしいです。

写真があまり魅力的じゃありませんが、左側が櫻桃爺爺、右側が利亞德のヌガーです。

しまじまの旅 たびたびの旅 78 ……ソウルフードとしての排骨飯

奉職している専門学校には台湾の留学生が大勢いて、昨年の卒業生から「センセ、今度台北に行くことがあったらぜひここに」とお勧めされていたお店がありました。それがこちら、総統府や中山堂にもほど近い「東一排骨」です。

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排骨というのは、日本では「パーコー」などと表記されますが、薄くスライスされた豚の骨付き肉を甘じょっぱい味つけで揚げ焼きにしたようなものです。台湾のお弁当にはかなりの確率で登場する代表的な総菜ですが、う〜ん、あまりに「肉々しい」のは中壮年の私にはつらいかしら……などとちょっと腰が引けつつも、今回行ってきました。

お店の入口もそうですが、店内の雰囲気も何というか「グランドキャバレー」ふう(行ったことないけど)。入口すぐ脇のカウンターで、存在感半端ないおばちゃん(なぜか三人もいた)に「何にする?」と問われ「排骨飯!」と答え、あとは適当に空席を探して座るだけ。こんなに広いお店で、適当に座っても注文通りの品が運ばれてくるのは、どういう追跡システムになっているんでしょう。

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統一感のない店内は、放映中のテレビあり、水槽あり、電飾あり、鉢植えあり、ガラスケースに入った多種多様な飾り物ありで、何とも落ち着かない……かと思いきや、これが不思議にすごく落ち着く〜。何でしょう、この「こっちがこれだけ自由なんだから、アンタも自由にしなさい」的な背中を押してくれる感。

「排骨飯」はご飯の上に「滷肉(ルーロー飯に載ってるやつ。でも、とてもあっさり目の味つけ)」と三種類の野菜炒め(この日はキャベツと青菜とマコモダケ)が載ってるのと、別皿で「排骨」、それに日替わりだというスープ(この日は味噌汁ふうでした)のセットです。ご飯以外にも麺(スープあり、なし)があり、他にも「雞腿飯」や「魚排飯」など数種類の選択肢がありました。

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これで150元(500円くらい)なんですけど、美味しい〜。全体的に薄味で「排骨」も見た目ほど重くなくて。食べながら「ああ……この味」と、大昔に台湾のプラント建設現場で働いていた頃のことを思い出しました。

現場のお昼ご飯にたびたび登場したのが、これと全く同じようなメニューのお弁当だったのです。ご飯の上に数種類の野菜と「排骨」、そしてスープ。私は大好きでもりもり食べていたのですが、日本から出張してきていた職員たちには軒並み不評でした。いわく「ご飯の上に脂っこい料理が載って、その油がご飯に染みているのが耐えられない」。それで台湾側スタッフや私がお弁当屋さんと交渉して、ご飯とおかずを別々の箱に入れてもらうようにしていました。

食の好みは人それぞれですから、白いご飯は白いご飯のままでという気持ちも分からなくはありません。でも、このある意味とても台湾的な(中国語圏全般がそうかな?)ご飯の上におかずがドン! という、おかずの味がご飯に染みているのも美味しいんですよね。

どなたが書かれたのかは失念しましたが、もう何十年も前に、食に関するとある文章を読みました。それは中国語圏の人々が大皿からおかずをとって、それをいったん手元のご飯の上でバウンドさせてから食べるのを観察したものだったのですが、「あれは、おかずの汁が染みたご飯が美味しいからではなかろうか」と結論づけていました。諸手を挙げて賛同したいと思います。

「東一排骨」のこのセットメニューは、台湾の人たちの心に染みる一種のソウルフードなのではないか、この店をお勧めしてくれた卒業生にとっても……と思いました。私のテーブルの隣に座ったお子さん連れの三人家族は、それぞれが野菜の載ったご飯を単品で頼み、その他に「油豆腐(厚揚げ風の豆腐を煮込んだもの)」をおかずに取って、三人でつついていました。「排骨」が売りのお店であえてこの選択が渋いです。やはりご飯の上におかずがドン! が心からお好きなんでしょうね。次は絶対マネします。

しまじまの旅 たびたびの旅 77 ……地味だけど滋味深い台湾かき氷三選

夏の台湾といえば何はさておき「かき氷!」ということで、今回の旅で印象深かった三つをご紹介します。

廟口冰店

澎湖本島は馬公の中心街、「燒肉飯」で有名な馬路益の手前にある屋台のようなお店です。

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シロップのかかった、見た目はごくごく普通のかき氷です。シロップは普通のと黒糖の二種類から選び、さらにトッピングを五種類選ぶことができます。目の前にきれいに並べられたトッピングがまた魅力的で、迷います。

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時に長蛇の列ができていますが、店員のおばちゃんたちの絶妙な連係プレーでどんどんお客さんがはけていきます。屋台の後ろのテーブルで食べてもいいし、持ち帰りも可能です。

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見た目はシンプルそのもの。五種類のトッピングは氷の下に隠れています。私は紅豆、花豆、薏仁、蓮子、仙草凍という地味な選択をしました。台湾のかき氷はどこでもそうですが、こんなに食べられるかしらというくらい大量の氷。でもこれが不思議に食べられてしまうんですね。


哪兒呀

こちらも馬公市内。お店の名の通り「哪兒呀(どこだよ?)」と少々見つけにくい路地の中程にあるお店です。

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ここのかき氷は「雪花冰(氷自体に味がついていて、それをふわふわの食感になるよう削ったもの)」で、驚くほどたくさんの種類があります。しかもかなり「インスタ映え」しそうなおしゃれなものも多いのですが、私は看板メニューでいちばん地味な、でも「招牌(看板メニュー)」だという「ピーナッツ味」にしました。

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う〜ん、ピーナッツの香りが素晴らしい。ここも量がものすごく多くて、この大量の氷の中に何か別のサプライズが隠れているわけでもなく、ただひたすら怒濤の「雪花冰」なので、二人くらいでシェアした方がよいかもしれません。


來呷甜甜品

最後はトランジットでちょっとだけ滞在した台北の、こぢんまりとした甘味屋さん。

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ここの「蜜芋麻糬燒雪冰(タロイモ胡麻きなこ餅の雪花冰)」がもう本当に絶品。家族で切り盛りしていると思しきアットホームなお店で、お店の人は「こちらに座って」「練乳かけます?」などと親切です。

こういう言い方をするとちょっと失礼ですけど、かき氷って暑い盛りにとにかく涼を求めたい! って側面が強いじゃないですか、味はまあ二の次で。ところが現代のかき氷は、特に優れたお店のそれは味が素晴らしいんですよね。台湾ではそれが雪花冰の質やトッピングの製法にかかっていると思うんですけど、こちらのお店の氷やトッピングは本当に丁寧に作られているのを感じます。

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どのかき氷も甘すぎず、しみじみ、ほのぼのとした味わい。フルーツがとにかく美味しい台湾のこと、トッピングてんこ盛りの見映えがするかき氷や、マンゴーどっさりの台湾ならではのかき氷ももちろん大好きなのですが、こうした「低調(ローテンション)」なかき氷にも惹かれるのでした。

しまじまの旅 たびたびの旅 76 ……望安嶼の古民家群と特攻艇

澎湖諸島の離島めぐり、今度は観光客向けのツアーではなく、一般の交通船で望安嶼に渡ってみました。澎湖本島と七美嶼の間にある、比較的大きな離島です。交通船の切符売り場は観光ツアーの拠点「南海旅遊中心」の隣にあります。切符を買うときは飛行機同様に身分証明書(外国人の場合はパスポート)が必要です。

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観光ツアーで使われる小型のクルーザーに比べると、交通船は大きいので、ほとんど揺れません。一応酔い止めの薬も飲んでおいたのですが、杞憂でした。船内もこんなにきれいで快適です。

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望安嶼の港に着いたらバイクを借りて、まずは伝統的な古民家群の再生が続けられている花宅の集落へ向かいます。

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とにかく日差しが強烈で暑いこともあって、誰もいません。静かで美しい古民家群。細部の装飾も美しいです。

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窓のデザイン。花模様もあれば、よく見かける「雙喜」もあります。

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こちらはその家の姓をかたどったもの。「曽」さん宅ですね。

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この集落では、一度は朽ち果ててしまった古民家を、地方自治体が持ち主とも交渉しながらひとつひとつ再生しているそうです。再生にあたってはなるべく素材をそのまま活かして使うようにしているとのこと。

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こちらの廃屋の、屋根の上に繁殖しているのは「銀合歡」という植物です。日本統治時代に持ち込まれた外来種で、繁殖力が極めて強いため現在では澎湖諸島全域で見られます。一種の毒を持っており、他の植物の繁殖の妨げになるので、駆除が続けられているとか。

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こちらは「仙人掌(サボテン)」。これはかつてオランダ人が持ち込んだそうで、やはり繁殖力が強く、澎湖諸島全域に広く分布しています。サボテンはアイスクリームなどに利用されて澎湖の名物にもなっていますが、この銀合歡とサボテンが、古民家にとっては石組みに根を張って崩壊を招く元凶なんだそうです。

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捕った小魚をすぐに茹でるための「魚灶(かまど)」がありました。今は工場に運ぶそうですが、昔は新鮮なうちに茹でるため、浜辺のすぐそばにこうした釜がたくさんあったそうです。ここにもサボテンが。その一方で、きれいに復元された物もありました。

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集落の売店で「爆米花球(甘いポップコーンを固めたようなもの)」と「黑糖粿(黒砂糖の蒸しパン)」を売っていました。

一つずつ買い求めたついでに、お店のおばさん、おじさんと話をして、「この島にもかつて日本軍が作った施設の遺跡があるよ」と教えてもらいました。私が「日本人が、ここまで出張って来ていたんですねえ」と言うと、おじさんは「歴史は“不可挽回(元には戻せない)”けれど、何があったかをきちんと知ることは大切」と。その通りですね。

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花宅の集落からほど近い高台「天台山」に登りました。360度、澎湖の島々と水平線が広がる素晴らしい景色です。昼間は日差しが強すぎますが、ここから見る夕景は素晴らしいのだそう。次回はぜひ望安嶼の民宿に一泊して、このあたりをもう一度散策したいと思います。

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ここから八つの島々が見えるので、望安嶼はかつて「八罩島」と呼ばれたそうです。さきほど教えてもらった旧日本軍の遺跡も「八罩島基地」という名称でした。特攻艇「震洋隊」による作戦基地のひとつです。

震洋 - Wikipedia

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山裾に特攻艇を隠しておくクリークを掘り、そこから海まで続く線路を作った施設「鴛鴦窟」の跡も残されていました。「有事」ともなれば、特攻艇を線路伝いに浜まで運び、出撃するという基地だったようです。

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上記のWikipediaによれば、震洋は6000隻あまりが作られ、様々な地域に配備されたようです。配備先が「馬公」となっている隊の一部がここにあったのでしょうね。震洋関連の戦死者は2500名以上、「アメリカの資料によると、終戦まで連合国の艦船の損害は4隻だった」と。何という生命と資源の蕩尽でしょうか。

こちらは台湾の「公共電視」が作った番組の一部です。

youtu.be

休憩所のそばに、レールに乗った特攻艇の模型も置かれていました。

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この基地にほど近い海岸の沖に見えるのは、馬鞍山嶼です。

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その名の通り馬の鞍の形をした小島ですが、ここは日本統治時代に政府が痲瘋病(ハンセン病)の患者を隔離した場所だそうです。一切の援助をせず、ただここに棄民してあとは患者たち本人の自活に任せたという、かなり非人道的な政策だったと、一緒に行った友人が説明してくれました。【追記(2019.7.10)こちらのページによると、患者の隔離ではなく「患者に死者が出た場合に、この島に遺棄して何の処理も行われなかった」という説もあるようです。いずれにしても非人道的ですが……。】

こうした歴史の一端は、日本人にほとんど知られていないと思います。澎湖に住む台湾人でも知らない人は多いと友人は言っていました。売店のおじさんが言っていた通り、歴史は“不可挽回”ですけど、それでもこんな南の、離島のそのまた離島までやってきて何やってたんだ日本人、という感慨に襲われます。

かつて日本が台湾を植民地支配したのは50年もの長きにわたります。それだけ社会の各方面に深くコミットしていたわけで、台湾各地を旅すると、必ずと言っていいほどこうした遺跡や遺物に遭遇します。当時の歴史に私は何の関与もしていないとはいえ、それでも一人の日本人として何ともむず痒い気持ちになります。

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港まで戻って、その少し先にある砂浜に向かいました。ここは澎湖一美しいとも言われる砂浜で、アオウミガメが産卵しに来るそうです。もっとも数年前に比べて砂がかなり流出してしまったと友人は嘆いていました。

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望安嶼にはアオウミガメ保護のための研究施設もあります。建物がウミガメの形をしていますね。

派手さは全くない離島の望安嶼。マリンスポーツなどが盛んなわけでもないので、他の離島のように若者や観光客であふれているということもありせん。それでも、いえ、それだからこそ逆に深い印象を残す島でした。ぜひまた、今度は民宿を予約して訪れてみたいと思います。

しまじまの旅 たびたびの旅 75 ……澎湖・愛しの紅新娘魚と燒肉飯

海鮮が豊富で、全体的に薄味な澎湖料理。何を食べても美味しいですが、大人数でないと色々頼めないので結局「小吃」の類ばかりが続くことになります。それはそれで何の不満もないのですが、せっかくなので地元の方おすすめのレストランに行ってみました。

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「川菜館(四川料理店)」という看板ですけど、メニューを見ても特に「麻辣」な料理に特化しているわけではなく、小さくて、飾り気のない、典型的かつ庶民的な澎湖の海鮮料理店です。でも、海鮮料理店おなじみの、店頭にどーんと並んでいる水槽の類は一切なし。友人によると「あれは観光客向け」とのこと。でもこのお店、あまりに地味なので、おすすめされていなかったら多分一人で入る勇気は出ないと思います。

ホールを切り盛りする威勢のいい老闆娘(おかみさん)がとっても親切。あと、ほとんどのメニューが大・中・小の盛りに別れているのもうれしいです。少人数でもいくつかの料理を組み合わせることができます。

澎湖料理でいちばん好きな「炸紅新娘魚」と「金瓜米粉」、それに蒸した海老とスープを頼みました。澎湖料理店に行くと、こればっかり食べているので、あまり芸がありません。でもこの「紅新娘魚」は澎湖以外ではほとんど見かけない、でもとってもおいしい魚です。高級魚でも何でもない雑魚なので、びっくりするほど安価。

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料理はどれも美味しくて、おすすめ通りとても素晴らしいお店でした。

qianchong.hatenablog.com

翌日のお昼に、馬公市内を歩いていたら、どこかで見かけたことのある青年が。先日参加した虎井嶼のツアーで話をした、日本に野球留学中の台湾人高校生でした。何という偶然。「ご飯食べました?」と聞くので「まだ」と答えると、「そこのお店、めっちゃ美味いっすよ」と日本語で教えてくれました。「燒肉飯」のお店で、「内用(お店で食べる人)・外帶(テイクアウトの人)」ともいっぱいのお客さん。


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看板メニューの「燒肉飯」を頼んでみました。

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どんぶりご飯の上に、目玉焼きと「燒肉(台湾の弁当によく入っている、ちょっと甘い味つけの「豬排」ですね)」、その下に高菜の漬け物を刻んだのが入っているだけの、外観は「なんだこれ?」的なひと品。でもこれが、野球部君の言う通り、本当に美味しくて、お客さんがいっぱいなのも納得。

あまりに美味しいので、後日再訪。この時は「燒肉」に「花枝排(イカのフライ。これがまた絶品)」をプラスしたのを食べました。こういうランチって、日本にいるときはまず絶対に食べない(というか、ランチ自体ほとんど食べない)んですけど、旅に出たときは心底美味しく感じられるんですよね。実際美味しいんですけど、不思議です。

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しまじまの旅 たびたびの旅 74 ……澎湖南海・四つの小島と七美

先日の「北海」に続いて、今度は澎湖の「南海」に点在する島々を巡るツアーに参加してみました。最初に向かったのは馬公の港から船で70分ほどの東吉嶼です。この日は波が高く、小さな船だったこともあり、船酔いする方が続出。私は酔い止めの薬を飲んでいたのと、ずっと海の風景を見ていたので大丈夫でした。

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外海とは違って、静かな静かな東吉嶼の港です。かつては漁業で栄えたこの島も、現在では数十名の島民がいるだけだそう。

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島でほぼ唯一のお店。

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伝統的な閩東式の家屋も、西洋風の建物も、現在では廃墟になっているところが多いです。

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生命力豊かな緑にどんどん包まれていっているもよう。

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集落を後にして、島の高台にある草原に向かいます。

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道の途中に観光用の道しるべが。「日軍營房遺址」とあります。旧日本軍がこの島に置いた兵営の跡ですね。

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草原の左手奥、平べったい建物と煙突のようなものが見える、あれが兵営の遺跡です。今回は団体ツアーなので近くに行くことはできませんでしたが、またもや「ここまで出張ってきていたのね、日本人……」という感慨が。

手前に見える白い羽根のようなものは、1987年にこの島へ不時着した台湾の民間航空機の残骸だそうです。高雄から望安へ飛ぶ途中に機体の故障で不時着、乗員乗客11名は全員無事だったとのこと。

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この島でも、もちろんお目当てのひとつは灯台です。最初に建てられたのは1911年で、やはり日本が建造したそうです。

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スマホの写真ではよく分かりませんが、実際には白い蝶々が無数に乱舞しています。ツアーガイドさんの説明によると、中国大陸まで海を渡る蝶々で、東吉嶼はその羽根休めをする島なんだそうですが……ほんとうかしら。

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港に戻る途中の断崖から見下ろすと、海の水の青さが際立ちます。

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再び船に乗り込んで、西吉嶼へ。このあたりは自然保護区で、なおかつ玄武岩の断崖に囲まれて上陸ができないので、海から柱状節理を観察です。ここの玄武岩澎湖諸島のなかでも一番迫力があって見ごたえがありました。

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ますます海が荒れるなか、七美を目指します。

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澎湖諸島でも一番南にある七美は有名な観光スポットなので、漁村もなかなか栄えています。

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バイクを借りて、自由に島を巡ってみることにしました。かなりオンボロのバイクで、走っている途中でエンストしたらどうしようなどと要らぬ心配をしましたが、もちろん大丈夫でした。

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七美の有名な観光スポットで、特に若い方々に人気なのがこれ、「雙心石滬」。浅瀬に岩を積んで作られた、魚をとるためのしかけですが、ハートが二つ重なった形に見えるため、カップルに人気なんですね。台湾の方って、けっこうこういうロマンチックなストーリーがお好きですよね。

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もうひとつ「小台灣」という観光スポットもあって、平たい岩場が台湾の形に見えるという……。ううむ、まあそう言われればそうかも。

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「雙心石滬」と「小台灣」はこれまでにも何度も写真で見ていたので、それを確認しておしまい、という感じになっちゃいました。「世界三大がっかり」じゃないですけど、観光旅行って得てしてこういう感じになりがちですよね。

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そのかわり、やはりここでも玄武岩の絶景があちこちにあって、離島独特の解放感とともに存分に堪能しました。

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葉の上に刺がついている、面白い植物。

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もちろん野生の(あるいは放牧されている)山羊もそこここで草を食んでいます。これだけ平べったい島で草がたくさんあるんだから牛を放牧しないのかなと思いましたが、離島の地形はけっこう起伏に富んでいて、山羊は難なく移動できるけれど、牛はすぐに転ぶので島での放牧には適さないんだそうです。

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もちろん灯台も「拝んで」きました。

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東嶼坪嶼と西嶼坪嶼の見事な玄武岩を眺めつつ……

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帰路の途中にある無人島、頭巾嶼ではカモメに餌やり。小魚を空中に放り上げると、カモメがうまくキャッチするのです。こういうのもアトラクションにしちゃうのがすごいです。カモメのほうも分かっているらしく、すごい勢いで迫ってきます。

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馬公の港に帰り着いて、その日の夜は花火大会だったので、大勢の人にたじろぎながらも楽しんできました。花火自体は十分ほどで終わっちゃうんですけど、すぐ目の前で打ち上げていて、ほとんど真上で花開く感じ。そのぶん音もすごくて、とても迫力がありました。

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しまじまの旅 たびたびの旅 73 ……小門嶼のシーカヤック

澎湖本島の西側、西嶼鄉の一番北にある小門嶼で、島を一周するシーカヤックに挑戦してみました。昨年は時間の関係で果たせなかったので、満を持しての再チャレンジです。

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澎湖諸島に広く見られる玄武岩の柱状節理、地上に露出している場所もたくさんありますし、海岸からもその一端を眺めることはできるのですが、これを海から見上げてみようという試み。午後三時頃から日没にかけての船出ですが、何もさえぎる物がない海上のこと、日焼け対策は厳重に、ということで、こんな怪しいいでたちに。

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まずインストラクターさんから今日の行程とシーカヤックの乗り方について簡単なレクチャー。

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中国語で「獨木舟」、日本語にすると「丸木舟」ですが、現代ではカヌーやカヤックのことを指します。私はしろうとなのでカヌーとカヤックの違いもよく分からないのですが、今回使った「獨木舟」は「シットオントップ」という一番初心者向けのカヤックのようです。

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上に座って櫂(パドル)をかくだけ。樹脂でできたカヤック全体が閉じた浮きのようになっているので、万一ひっくり返ってもすぐに体勢を回復できます。

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まずは砂浜の沖にあるブイを使って、パドルの練習。まあ何とか前に進むので、インストラクターさんが「なんだ、練習は要らないね」とさっそく出航です。

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う〜ん、この解放感。幸い日差しもあまり強くなく、海風が心地よいです。

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小門嶼と西嶼をつなぐ二重アーチの橋(インストラクターさんは「麥當勞(マクドナルド)橋」と言っていました)が第一の難関。速い海流が奥から手前に流れていて、流れに逆らってパドルをかく必要があるからです。

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かなり苦労しましたが、何とか乗り越えると、今度は一転追い風の海域で、かなりスムーズにカヤックが進みます。

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柱状節理の、この迫力。

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「海蝕洞」、つまり波に浸食されてできた天然の洞穴もありました。

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この「海蝕洞」をながめながら、お茶の時間。

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さらにしばらく進んでいくも……このあたりで船酔いに襲われ、だんだん気分が悪くなってきました。

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吐きそうになって、カヤックから上半身をせり出したところ……横転して海に投げ出されました。首にかけていた防水袋の中のスマホがなぜかその瞬間を連写していました。

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でも不思議に恐怖は感じませんでした。まあ救命胴衣をつけていますし、カヤックは沈まないですし、私も多少は泳げますから……でも一緒に行った友人はかなり驚いていました。ごめんね。インストラクターさんの指示でカヤックを戻して、再度体勢を立て直します。

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夕日がきれいです。

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最後は、波の強い海域を通過して、手は痺れるし息も絶え絶えになりましたが、なんとか自力で島の一周を終えました。浜辺に上がるときは文字通り這々の体でした。

中壮年にはちょっとハードすぎるかもしれないシーカヤックでの小門嶼一周でしたが、ぜひまたやりたいです。もっとパドルのかきかたが上達すれば、もう少々「省エネ」で楽しめるでしょう。あ、あと船酔い止めの薬を必ず飲んでおきたいところです。

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しまじまの旅 たびたびの旅 72 ……馬公市の北辰市場

去年に引き続き、今年も浮潛(シュノーケリング)のツアーに参加しました。朝八時出発なので、その前に港にほど近い市場で元気をもらってきました。ふだん人混みは嫌いだなどと言っているくせに、こういう市場の雑踏はうきうきします。勝手なものだと思います。

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さすがに魚介類が豊富です。まだ跳ねている魚も多くて、とても新鮮。業者向けの本格的な魚市場は港の隣にあるのですが、こちらはもう少し「庶民の台所」的雰囲気です。

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こちらは澎湖で一番ポピュラーと言ってもよい魚介類の「小管(イカ)」。茹でてあるものも、生のままのものも売られていました。

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貝類も豊富です。アワビやアサリなどだけではなく、ビナとかタニシみたいな小さな貝もたくさん。熊本の不知火海に面した水俣に住んでいたときによく食べました。

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乾物類も豊富です。

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肉類も売っていますが、圧倒的な魚介類を前に、なんとなく影が薄いですね。

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加工品や総菜類も魅力的です。

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食材を売る市場なので、逆に朝ごはんを提供するお店や屋台は少ないのですが、こちらは去年も来た「早點」屋さん。粉物好きとしては、どれも試してみたくて、かなり迷います。お店のおじさんとおばさんはとてもフレンドリーで、それぞれの「中身」を説明してくれました。

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めくるめくような野菜の数々。どれもこれも料理してみたいです。市場の中にお店を構えている人もいれば、市場周辺の道端で売っている人も。

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果物もあれこれ試してみたい。出盛りの龍眼や釈迦頭やパッションフルーツなどが魅力的です。

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実家がある北九州は小倉の「旦過市場」も似たような雰囲気ですが、規模と、あと残念ながら活気がかなり違います。北辰市場のこのエネルギッシュさと言ったら。

澎湖はこれでもまだまだ未開発の観光地で、これからますます発展が期待されているそう。こうした市場がもっと活気づいていくのでしょうけど、観光地化が進みすぎてこうした一種の「雑多感」が薄れていくようなことがあったらもったいないな、とも思いました。これも旅人の勝手なノスタルジーですが。

私はこうした市場やスーパーマーケットなどで物がずらっと並んでいる光景に興奮する、「Wayne Thiebaud的偏執狂」の傾向があるのですが、北辰市場とは真逆のおされなショッピングセンター「Pier3 三號港」でも似たような光景を見つけました。

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「冰棒(アイスキャンデー)」屋さんです。

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そのお向かいにあるコーヒーショップ「吹吹風」でエスプレッソを注文して合わせてみました。

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注文したら「かなり濃いですけど、大丈夫?」と聞かれました。その通り、ものすごく濃厚で、でも酸味とフルーティーな香りが絶妙の、本当に美味しいエスプレッソでした。三種類の豆をブレンドしたんだそうで、ウイスキーのようにチェイサーつきで供されるのも分かるくらいの飲み応え。

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このお店「吹吹風」は、馬公氏の観光スポット「彩虹大橋」のすぐ前に本店があって、そちらは台湾でよくあるタイプのゆるい雰囲気が楽しい喫茶店ですが、「Pier3 三號港」に出店しているこちらは、どこか(というか、かなり)「ブルーボトルコーヒー」ふうです。