インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

廃墟に咲くガクアジサイ

私の職場の窓から廃墟が見えます。ここは「旧・千駄谷住宅」で、元々国家公務員の宿舎だったのですが、2011年以降は完全に使用が停止されているそうです。廃墟というほど朽ち果ててはいませんが、その向こうに見える新宿駅周辺の高層ビル群とのコントラストがなんともシュールです。



梅雨のこの時期、廃墟の中にアジサイ(たぶんガクアジサイ)が咲いているのが見られます。ここの敷地は封鎖されていて中に入ることはできないので、このガクアジサイは人知れず、毎年花をつけているわけです。私は上階から見下ろす形になるので気づきましたが、このガクアジサイを知っている人はほとんどいないのではないかと思われます。

この花を見るたび、廃墟になっても毎年咲き続けるなんて健気だなあと思うと同時に、なんともいえない儚さを感じるのです。この場所は新宿駅から徒歩でも10分以内の好立地なので、不動産としてはかなり高額な物件になるものと思われます。ただ、土地を管理する財務省の資料によれば、今のところ積極的に活用する目途は立っていない模様。

こんな一等地(しかもかなり広いです)が都心に残っているなんてもったいないなあと思うと同時に、あのガクアジサイはいつまでもひっそりと咲き続けてほしいなとも思うのです。