インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

AIとの恋愛

職場の同僚から「ちょっと“creepy(気持ち悪い)”かもしれないけど」と送られてきた、こちらの動画。アバター姿のAIと英語で会話して、そのAIに恋愛にも似た(というか恋愛そのもの?)感情を抱く中国の人々のお話です。私も思わず「気持ち悪い」とつぶやいてしまったのですが、その気持ち悪さは那辺にあるのかなと考えました。

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うん、でも、たしかにAIに感情移入どころか恋愛感情まで抱いてしまうのは、個人的にはちょっとどうかなあと思いますけど、むしろ生身の人間よりもこちらの方がいいと思う方はいるかもしれません。古いところではソニーの「aibo*1」や、最近では「LOVOT」など、ユーザーの感情移入っぷりで話題になったロボットもありました。

ただこちらは人間、というかヒトとしてのAI+アバターへの感情移入ないしは恋愛感情ですから、疑似的な愛玩動物(ペット)としての「aibo」や「LOVOT」とはちょっと違うステージに行ってしまった感があります。同僚は「もっとリアルな映像、例えば好きな俳優さんなどがそのままの姿と声でアプローチしてきたらそれなりに『萌え』るかもしれないけど、この映像にあるようなアバターじゃあねえ」と言っていました。

先日、生身の人間相手にオンライン英会話をするよりAIとの会話のほうが恥ずかしくないし失敗も怖くないという話をブログに書きましたが、恋愛にまでそういう枠組みが入り込みつつあるということなのかしら。まあこれまでにも二次元アイドルのほうが生身の人間よりもいいというようなニーズはありましたから、そんなに驚くような話でもないのかもしれません。

qianchong.hatenablog.com

いまはまだ、スマートフォンの中のAI+アバターというレベルですが、これから先もっと技術が進歩して、生身ならぬ実体をもつリアルなロボットやアンドロイド*2にこういう技術が融合していったら……あ、でもこれもまたSF小説や映画の世界ではすでに古典的とも言えるようなテーマです。ただそれがいままでは遠い未来における空想にとどまっていたのが、実現可能性が指呼のうちに入ってきたことで、にわかに「気持ち悪さ」あるいは違和感のようなものが認識されてきたということなのかな。

*1:いまでも販売されているそうです。

*2:ボストン・ダイナミクス社のロボットなど、すでにして「かわいい」あるいは「気持ち悪い」などの感情を十分に抱かせるほどの動きを獲得していますよね。