インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

生身かAIか

またやられました。オンライン英会話のCambly、講師側からの「ドタキャン」です。私は個人的な学習記録をつけていますが、Camblyのドタキャン確率は約10%。つまりレッスン10回に1回はドタキャンをくらうという計算になります。最近は珍しく1か月以上ドタキャンに遭っておらず「そろそろ来るかしら」と予想していたため、今回は「おお、やっぱり来た」と比較的冷静に受け止めている自分がいます(それもどうかと思うが)。

でも、せっかく朝早く起きて、パソコンとヘッドホンとカメラをセッティングし、レッスン開始時間前からスタンバイしていたら、その開始時間ちょうどにこのキャンセル通知が来るというの、やっぱりヘコみます。朝から気勢をそがれるというか。この講師のユーザー評価は5点満点で4.92。私はなるべくユーザーの点数評価やレビューがよく、教員資格を持っていて、イントロダクションビデオの印象がよい方を選ぶようにしていますが、それでもこういうことは起こりえます。

誰にだって急な用事や突発的なトラブルはありますからキャンセルも仕方がないのですが、ひとことお詫びのメッセージでも送ってくればいいのにね。まあこれがすなわち「グローバルスタンダード」というやつなのでしょう。

知人や友人の中には、見ず知らずの英語母語話者といきなりオンラインで会話するなんてちょっと……という人もいます。たしかに私だって、いまでもレッスン開始前はけっこう緊張しています。ただ、外語学習はある意味「心折れる体験の連続」みたいなところがあると心得ていますから、こうやって続いています。でも、外語学習を始めたばかりの方が10%の確率でドタキャンなどくらっていたら、ますますこういったサービスからは遠ざかってしまうでしょうね。Camblyはドタキャン講師へのペナルティを具体的に考えるべきだと思います。

こうやって「生身」の講師はどうも……とお考えの方は、最近続々と登場しているAIが話し相手になってくれるタイプの学習アプリに食指が動くかもしれません。私もそうしたアプリを複数試したことがありますが、「外国人に下手な英語で話しかけるのが怖い人も、恥ずかしがらず存分に英語で話すことができます」などの惹句には、たしかにそうかもと思わせるものがあります。ドタキャンの心配も皆無ですし。

ただ私は、いくつか試してみた上でやっぱり「生身」の講師が相手になってくれるオンライン英会話のほうがいいなと思いました。これは個人的な好みもあると思いますが、やっぱりAI相手の会話練習だとリアリティがなさすぎて面白くないんですよね。それに感情のある生身の人間相手だから、予約を入れ、その予約時間に合わせてサボらずに続けようと思う、そういうモチベーションをも後押ししてくれるような気がします。

もちろん最近の学習アプリはよくできていて、臨場感あふれる設定にするため効果音が凝っていたり、楽しく継続できるようにさまざまなゲーム的要素を取り入れていたり、細かいレビューを返してくれたりといった工夫が満載です。それでも私はやっぱり生身の人間の、ときに意外な展開で盛り上がったり、逆にテンション低めで「ああ、これはハズレだな」と思ったり……というリアリティの方を優先します。

ですから、ドタキャンもまたそんな生身の人間ならではの現象と捉えればいいのかもしれません。気を取り直してすぐに別のレッスンの予約を入れました。