インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

どこまで冷たい仕打ちを続けるのか

きのう名古屋地裁で、国が同性婚を認めないのは憲法違反とする判決が出されました。 「同性カップルに対し、その関係を国の制度として公に証明せず、保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」というのがその理由だそうです。すばらしい、そしてまっとうな判断だと思います。

法的に同性婚が認められていない現在、所得税配偶者控除が受けられない、パートナーが亡くなっても法定相続人になれないなど、同性カップルにはさまざまな不利益が生じています。子育てをする場合にも共同親権を持てない、あるいは「家族とは認められない」という理由で入院や手術時に説明を受けられなかったり付き添いができなかったりすることも。

選択的夫婦別姓もそうですけど、同性婚の法制化はいますぐにでも実現可能で、なおかつ誰もがハッピーになれる(かつてニュージーランドの国会でモーリス・ウィリアムソン議員が述べたように「関係する人にはすばらしく、関係ない人は今まで通りの生活が続くだけ」)施策です。


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各種の世論調査でもおよそ6割から7割の人々が賛成している同性婚の法制化。特にお若い方々の間ではさらに賛成の割合が高い(たとえばJNNの最近の世論調査では「18歳以上30歳未満の女性で賛成が91%、反対が4%/男性で賛成が75%、反対が20%」という結果が出ています)ことからしても、世論の趨勢はすでに決まっているものと思われますが、自民党の、それも一部の人々の頑迷な反対によって法制化の議論さえ、同じ与党内で賛成している公明党との調整さえ始まっていないようです。

私事ながら、私は若い頃最初の結婚をしましたが、そのときは夫婦別姓、つまり事実婚を選びました。ふたりとも、夫婦がどちらかの姓に改めることに抵抗と疑問があったからです。当然のように上述の配偶者控除などで不利益がありましたが、当時はそれもまあ仕方がないとあきらめていました。ですが、周囲の一部の人々から「それは本当の結婚ではない」「家族とは認めない」というような言葉を投げつけられた痛みはいまでも心に残っています(もっとひどいこと、例えば動物に例えるような……も言われたことがありますが、思い出すだに腹が立つので書きません)。

私は、私自身の意志と考えで夫婦別姓を選びましたから、それなりの法的な不合理も受け入れました(それも選択的夫婦別姓制度の導入で解消されてほしいとは思いますけど)。でも同性婚を求めている人々は、その性的指向を自らの意思により選択したわけではないのです。国は、いや自民党は、いや自民党の一部の頑迷かつ学ぼうとしない人々は、どこまで世論を無視し続け、ここまで冷たい仕打ちをし続けるのかと、その非道さに憤りを抑えきれません。