ここのところ数日ほど、各社の世論調査結果を興味深く見ていました。政府が公表した屋内外でのマスクの着用基準を受けて、マスク着用基準の緩和について賛意を表す方が、どの社の調査でもおおむね五割を超えていたからです。つまり屋外では、一定の条件を満たせば(ソーシャルディスタンスが取れているとか、会話をしていないとか)マスクを外すことに半分の人々が肯定的な考えを持っているわけです。
ところが往来を歩いてみると分かりますけど、実際にはそうした世論調査の結果をまったく反映していない光景が広がっています。道行くほとんどの方々が、いまだマスクを着用されているのです。数えたわけじゃありませんが、おそらく100人に数人程度というレベルではないでしょうか。
これはもう多くの方が指摘されているように、日本ならではの同調圧力のなせる技なのでしょう。あるいは、世論調査では理想論や多少「カッコつけた意見」を言えるけれど、実際に人前に出ると「そうはいってもね……」と腰砕けになっているということでもあるのでしょう。
私自身は、もう屋外ではマスクをしないと決めました。屋内にいるときはもちろん、公共交通機関を使っているときや、屋外でもあまりに人が密集しているところでは着用しますけど、それ以外は外しています。いまはまだすれ違う人々の視線が何となく気になりますが、たぶんもう少ししたら(気候も暑くなってきましたし)外す方は多くなるんじゃないかと想像しています。
屋外ではマスクを外し、屋内ではマスクをつける……となると、特に都心で移動しているときなど、頻繁に着脱を繰り返すことになります。これは意外にめんどくさい。コロナ禍に突入してからというもの、私たちはいろいろと新しい生活様式を作り出し,それに慣れようとしてきましたが、これからの過渡期にはこの「マスクの頻繁な着脱」に適応した様式が生まれてくるかもしれません。ウエストバックみたいな形式の「マスクバック」とか、そういう何か新しい商品も登場するんじゃないかしら。
ところで、各社の世論調査結果によれば、屋外でマスクを外すことに肯定的な方は高齢者になるほど多く、若い世代になるほど少なくなるという傾向があるそうです。なるほど、コロナウイルスが猖獗を極めていたころにも、時折電車の中でもマスクをしていない猛者がいましたが、それはほとんどお年寄り(それも男性)でした。う〜ん、当時私はそういうジジイ(失礼)を苦々しく思っていましたが、もしかすると今現在、往来でマスクをしていない初老の私をみて、道行くお若い方々は「なんだこのジジイ」とか「ヤバい奴がきた」などと思っているのかもしれません。