インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

みんな煮え切らない

職場の総務部門から、新年度からの、つまり4月1日以降からの新型コロナウイルス感染症対策に関する「お知らせ」がメールで届きました。いろいろな項目があるのですが、基本的にはこれまで継続してきた対策の「現状維持」だそうです。マスクについても当面は着用を推奨するとのこと。すでに満員電車以外では完全にマスクを外して生活している私としては、ちょっとがっかりしたというのが本音です。

普段の生活ではほぼマスクを外しているとはいえ、授業ではかなり近距離で会話をすることもあり、そのときは私も着用しています。この授業での着用についても「お知らせ」では「アクリル板の設置などにより、状況に応じて脱着について判断することを可能とする」となっていました。状況に応じて着脱について判断することを可能とする……なんとも歯切れの悪いというか、煮え切らない表現です。結局は現場に任せるよということですか。


https://www.irasutoya.com/2015/08/blog-post_367.html

でも職場の総務部門としてもはっきりこうしてくださいとは言いにくい側面があるのだろうとお察しします。このおこの「お知らせ」は「政府の『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』の変更等に関連して」出されたものなのですが、その政府自身がなんとも煮え切らない態度なんですもん。この「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」というのはここにあります。

https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20230127.pdf

この68ページにも及ぶ方針のうち「学校等の取扱い」について熟読玩味してみましたが、私たちの職場にもっとも近い状況についての政府の方針(のようなもの)はおそらくここです。

大学等については、感染防止と面接授業・遠隔授業の効果的実施等による学修機会の確保の両立に向けて適切に対応することを要請する。

む〜、それはまあそうでしょうけど、これまたなんとも煮え切らないです。ここには「『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル』等を踏まえた 対応を要請する」とも書かれていて、検索してみるとこれは文部科学省が出している、こちらは85ページにも及ぶマニュアル文書のようです。

https://www.mext.go.jp/content/20220404-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf

ここには学校における対策についてこう書かれています。

地域の感染状況を踏まえ、学習内容や活動内容を工夫しながら可能な限り、授業や部活動、各種行事等の教育活動を継続し、子供の健やかな学びを保障していくことが必要です。

むむ〜、ここ3年くらいはずっとそうやってきたんですけど……と思って表紙を見ると、このマニュアルの最終リバイスは2022年4月です。それからもう1年近くも対策なり方針なりマニュアルなりは変わっていないんですね。それは学校の総務部門もなすすべがないでしょうし、結局は現場に任せるよとなるのもむべなるかなです。

わかりました。じゃあ私は現場で、自分で責任を取って対策を立てたいと思います。といっても大したことじゃないです。換気に注意しつつ、マスクは基本的に外す。ペアワークなど近距離で会話する場合、気になるようなら着用するよう学生さんに求める。シンプルすぎるけど、現実的にはこんなところでしょうか。

こんなシンプルな方針や対策さえ、どこからも出てこない。結局この国では、だれも責任を取ろうとしない、リーダーシップを発揮しようとしないのですね。日本を外から見つめる留学生の皆さんと毎日接している私としては、「日本ってこんな国なんですね」と毎日問われているようで、内心かなり恥ずかしいです。