タンペレからあちこち寄り道しながら車で一日走って、小さな街の郊外の、舗装もされていない道の先にある農家に泊まりました。ここもAirbnbで見つけた民泊です。ご案内の通りAirbnbでは宿泊前からホスト(オーナー)と何度かやりとりをするのですが、こちらのホストはとても親切で泊まる前から期待していました。そしてその期待通り、到着予定時刻を伝えていたら、広い農家の敷地の庭で、本を読みながらホストのおばさんが待っていてくれました。民泊は鍵をコンビニやキーボックスで渡してホストには一切会わないことも多い(それはそれで気楽)のですが、こういう歓待は本当にうれしいです。
泊まる部屋は母屋の離れで、たぶん以前は納屋だったんじゃないかなと思われる建物です。でもとても快適で、たまたま他に宿泊者がいなかったこともあって、心底ゆったりのんびり過ごすことができました。水回りはあまり充実していないのでその点は不便ですが、飲料水はたっぷり用意されているし、家電製品も充実しています。北国のフィンランドらしく、この日の夜はかなり冷え込みましたが、電気ストーブもあるし、薪ストーブも使うことができて助かりました。
トイレは堆肥と混ぜる「コンポスト」タイプ。堆肥で発酵しているので、まったく匂いません。こういうのは苦手な方も多いかもしれませんが、実は私、二十歳代の頃は熊本の田舎でこういう暮らしをしていたので、かえって懐かしい思いでした。このライフスタイルは例えばアメリカのヒッピームーブメントとか、オルタナティブライフとか、あの辺の文化で、『地球の上に生きる』とか『自給自足の本』とか『全地球カタログ』とかに目を輝かせた世代にはおなじみのものですね。
広い庭には「あずまや」やフリスビーゴルフ(ディスクゴルフ)なんかもあったりして(息子さんが凝ってるそう)とても優雅ですが、なんといっても打ちのめされたのがこれ! 家族用のサウナです。これも離れになっていて、小さなコテージみたいな作り。中には脱衣場があって、小さなベンチがしつらえられたサウナは水と、お湯と、そして「ロウリュ」ができる石がかんかんに熾っています。ご家族はこの薪を使うサウナに毎日入っているんだそう。何度も出ては風景を眺め、また入ったりして、サウナでぼーっと過ごしました。
ホスト家族とは簡単な英語とフィンランド語でいろいろ話をしました。お互い英語は拙い(私のほうがずっと拙いですが)のに、いろいろな語彙を駆使してそこそこ深い話ができます。こうやってリアルにフィンランド語で話が(といってもほとんど単語の羅列ですが)できるのも本当に楽しいです。