インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

「ケサモッキ」で酷暑を忘れたい

東京は極度に蒸し暑い日が続いています。七月までは異様に涼しくて、今年ならよかったと五輪関係者は悔しがったんじゃないかと心中お察ししていたんですが、八月の声を聞いた途端に野外でスポーツなんて人権侵害を疑われるくらいの酷暑。やっぱり来年も中止ということで早めに決定したほうがいいんじゃないでしょうか。

本来なら今年も長めの夏休みをとって、去年同様湿度が低く涼しいフィンランドへ行ってレンタカーを借り、観光地には一切行かずに田舎ばかりドライブして回るというバカンスを楽しもうと思っていたのですが、コロナ禍でそもそも出国(どころか東京から出ることすらも)が不可能になり、加えて秋以降の仕事の段取りなんかも色々と積み重なっていて、泣く泣くあきらめました。

そんななか、これもコロナ禍の影響でZoomのオンライン授業になってしまったフィンランド語の講座では、教科書の文章に“kesämökki*1”の話が出てきました。“kesä”が「夏」で“mökki”が「小屋」とか「コテージ」。つまりフィンランドの人々が夏の間過ごす別荘みたいなものですけど、先生によると建物を指すというよりは、そうした別荘地一帯を含めた呼称、つまりは「避暑地」みたいな意味合いの言葉なんだそうです。

別荘といってもそんなに豪壮なものではなく、森の中とか湖の畔とかに建っている簡易なコテージ。かのトーベ・ヤンソン氏の『島暮らしの記録』に出てくる、岩礁にへばりつくようにして建っている平屋(でも居心地良さそう)の小屋が思い起こされます。

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島暮らしの記録

とはいえそこは現代のそれ、いまは家電設備なんかがちゃんとあって、なんならサウナ小屋なんかもついていて、目の前の湖にボートでも浮かべて日がなゆっくり……みたいな素敵な場所だそうです。去年ユヴァスキュラ近郊で、農家の納屋を改造したコテージみたいな民泊に何泊かしたのですが、あんな感じかしら。

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でも先生によると、フィンランドの、とくに若い人々はあまりこういう「伝統的」な夏の過ごし方はお好みじゃなくなって来ているようで、“kesämökki”もエアビーアンドビーなんか見るとけっこうな数が夏の間に貸し出されています。しかも庭つきサウナつき目の前の湖つきで一泊6〜7000円程度からあったりして。こんなところで東京の酷暑を忘れたいです。いま試しにエアビーアンドビーで適当な条件を入れて検索してみたら、たくさん見つかりました。

こんなのとか。

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こんなのとか。

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こんなのとか。

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こんなのとか。

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こんなのとか。

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こんなのとか(写真はすべてエアビーアンドビーから)。

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東京の酷暑を抜け出して、周りに人がいないところに行くというのが私にとって最高の夏休みです。日本国内でもいいんですけど、せっかくなら日本語や日本的なものからもすこし離れていたい。来年はコロナ禍も収まって、またこういうところで夏を過ごせたらいいな。それまで頑張って働きます。

*1:ウムラウトがあるので「ケサモッキ」と「ケセメッキ」の中間くらいの発音です。