ニューヨークに進出した「いきなり!ステーキ」が苦戦というこちらの記事、とても興味深かったです。
アメリカという国は多種多様な民族・宗教・文化の集まりですから、食文化も一様には語れないのでしょうけど、多くのアメリカ人にとって牛肉が特別な存在であるというその愛着ぶりが、この記事からリアルに伝わってきました。そして、個々人の懐具合や健康意識、さらには社会倫理的な観点からも、食のありように多様な選択肢が生まれているというのが特に「アメリカらしいなあ」と。
著者の渡辺由佳里氏によると、アメリカの外食産業には概略以下のようなレベル分けがあるのだそうです。
「ファストフード」……「はやい・やすい」のマクドナルドなど。
「ファスト・カジュアルダイニング」……「はやい」いっぽうで、食材の質やメニューを向上させたもの。Shake Shack(シェイクシャック)など。
「ファスト・ファインダイニング」……「はやい」いっぽうで、高級レストランの味と雰囲気を提供するもの。
「ファインダイニング」……いわゆる高級店。
なるほど、こうやってレベル分けしてみると、「いきなり!ステーキ」がこの四つのどこにも属さない、言い換えればアメリカ人にとってはつかみ所のない存在で、だから「苦戦」しているのかなというのがよくわかります。
私もジムのトレーナーさんにおすすめされて、何度か「いきなり!ステーキ」に行ったんですけど(「肉マイレージカード」も持ってます)、繁盛している日本においても確かにお店の位置づけは独特だなあと思います。ファストフード的ではあるけど、肉をその場でカットして炭火焼きってスタイルは高級店っぽいし、でも頻繁に食べられるほどお安くはないし(ランチを除けば、なんだかんだいって3〜4000円くらいかかります)、味は正直……(以下略)。
日本ではその独特の位置づけがかえって新鮮でウケたのに、アメリカではそれが立ち位置の曖昧さとして受け止められてしまったと。海外での商売って難しいですね。しかも「健康×ソーシャルグッド」という、とくに健康意識や社会的公正さへの意識が高い人々の存在が大きなものになりつつあるという現状も「いきなり!ステーキ」にとっては逆風に働いてしまったという点、これも興味深いと思いました。
ところで、「いきなり!ステーキ」はまだ中国語圏には進出していないみたいですけど、もしするなら「立ち食い」スタイルは採用しない方がいいと思います。焼き芋やハンバーガー程度ならまだしも、食器を使う食事を立ってするのは「どーしてもムリ!」という方がかなり多いですから。
私は「立ちそば」が大好きなんですけど、華人とあの素晴らしさを分かち合おうと思っても、みなさん大概「ちょっとムリ」とおっしゃいます。私はこの話題をいろいろな年代層の華人に振ってきましたが、来日して何年経っても一度も食べたことない方も多いです。食器を使う食事はどうしても座りたくなるDNA(?)なんですね。万やむを得ない場合はどうするのか……というと、これが「しゃがむ」んですね。
「蹲著(しゃがんで) 吃飯(ご飯を食べる)」で検索してみました。こんな感じです。