インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

次を育てる

私はあと二年あまりで今の職場を雇い止めになります。その後も嘱託や非常勤という形で多少は勤め続けることができますし、職場からもそういう希望を伝えられてはいますが、それでも収入ががくんと落ち、先細りになっていくことは確実です。

老後の数十年を(そこまで生きたとしてですが)悠々自適で暮らせるほどの蓄えはありませんし、持ち家などの資産もありませんから、現実的に考えればお寒い未来予想しか浮かび上がってきません。

それで、セカンドキャリアについてもう何年も前から考えてはいるのですが、まだ具体的な構想は何も描けていません。もともと行き当りばったりであれこれと手を出して転職や転業を繰り返してきたので、今度もまた何かの「ご縁」が導く先に行くだけ……そんなふうに考えているところがあります。年齢的にも体力的にもこれまでとは全く違うステージだということはわかっているのですが。

中高年層のセカンドキャリア相談や生活困窮者向けの自立支援などを仕事にしている妻によれば「仕事はね、あるよ。選ばなければね」とのこと。なるほど。次にどういう仕事をして暮らしを立てていくか、次の自分を育てる営みを始めて行かなければならないですね。


https://www.irasutoya.com/2013/11/blog-post_8450.html

次を育てるといえば、私が雇い止めになったあとの仕事を引き継いでくれる人も考えなければなりません。うちの職場はこれまでこの点についてはあまり本腰をいれていなかったので、先日私の直属の上司と一緒に学校側と相談の場を持ちました。

私が担当しているメインの仕事は中国語と日本語の間の通訳と翻訳に関する教育です。教育の対象は外国人留学生(華人留学生)。できれば企業などでの通訳や翻訳の実務経験があれば理想的ですが、中国語通訳翻訳業界で稼働されている方は圧倒的に中国語母語話者が多く、私のような日本語母語話者は比較的少ないです。日本国内の通訳翻訳業界なのに。これは英語の通訳翻訳業界とかなり異なる状況です。だから、ちょっと傲慢な言い方ではありますが、なかなかいい方が見つからないのです。

というわけで学校側との話し合いでは、通訳や翻訳の実務はあとから学んでいただくとして、まずは日本語と中国語の基礎がしっかりされている方を公募しようということになりました。具体的には大学や大学院、あるいは関連学会などに対して公募を出すということです。

日本語母語話者でありながら、中国語母語話者の学生を前に中国語の解釈や表現についてあれこれ指摘するという、ちょっと「無理筋」の業務内容ですが、アカデミズムの世界できちんと学んでこられた方なら多分大丈夫だと思います。つまり学校側としては、実務経験や社会経験よりも、基礎的な知識や教養を重視したいということですね。私もそれに賛成です。

公募でいい方が見つかるといいんですけど。まあこれも「ご縁」ですから、事前にあれこれ考えても仕方がないですよね。いいご縁に恵まれますように。