インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

教科書の最後から逆に学び直す

毎週参加しているフィンランド語のオンライン教室では、新たな課題が指示されました。それは、すでにずいぶん前に学習し終えた最初の教科書の、一番最後の課の「本文」テキストを暗誦するという課題です。具体的には、先生が作ってくださったGoogleスライドのフラッシュカードを使って、一文ずつ日本語からフィンランド語へ瞬時に変換するというもの。

私は同じようなフラッシュカードをすでにQuizletで作っていたので、それで取り組むことにしました。自分で作ってはいたものの、あまり使い倒してはこなかったのです。それで一番最後の「第27課」は、とりあえずすべて瞬時に変換できるようになりました。

そうしたら今度は、その前の「第26課」も暗誦に取り組むよう指示されました。先生によれば、第27課を完璧に言えるようになっていれば、第26課は少しだけ簡単になるでしょう、と。そして、そうやって教科書を遡りながら覚えていけば、いずれは教科書に出てくる表現をすべてマスターできるでしょう、と。

なるほど、これは一見シンプルかつ単純な方法に見えますけど、理にかなっています。だって、おおかたの語学の教科書は、それまでに学んだ文法事項に上乗せしていく形で「本文」が複雑になっていくからです。

例えば、今回私たちが使っている教科書“suomea suomeksi 1(フィンランド語をフィンランド語で)”では、一番最後の第27課で、それまでの文法事項にプラスして「複数属格」が加わり、その「複数属格」を駆使して本文が書かれています。そして、そのひとつ前の第26課では当然「複数属格」は使われていません。この課では「複数分格」を駆使した本文になっています。さらにそのひとつ前の第25課では「複数属格」も「複数分格」も使わずに本文が書かれています。

この教科書は全2冊でフィンランド語の文法事項をほぼ網羅しており、私たちはすでに2冊とも学び終えて現在は読解や聴解を中心に学習しています。先生の「戦略」は、ここいらでいったん学んだ文法事項の前半部分を復習して、さらに確固たるものにしてしまおうということですね。

語学というものはとにかくキリがなくて、文法も語彙もどんどん複雑かつ難しくなっていく一方です。それはそれでチャレンジングでおもしろいのですが、時々先が見えない不安な気持ちに陥ることがあります。いつまでこんなしんどい事をやり続けなければならないのだろうと。語学は基本泥臭くて辛気臭い営みですからね。

そんなふうに、語学を放棄しちゃいたくなるあたりで、こうやって階段を逆に降りるように基礎固めをし直すというのはいいなと思いました。学んだ当時はとにかく難しいとばかり感じていたのが、いまになって学び直すとけっこう簡単に思えて、その自信がまた先に向かうモチベーションに繋がるような気がするからです。