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フィンランド語 140 …受動態可能法

新しい文法事項として「受動態可能法」というのが出てきました。「おそらく〜されるだろう」という意味を動詞ひとつで表してしまえるものです。これまでに様々な動詞の形が出てきましたが、その多くが受動態の過去形から作るのでした。つまり、まず動詞の一人称単数形を作り、その印“n”を“tAAn”に変え、さらに“ttiin”にする。その語尾“iin”を様々に変えて様々な意味を表します。フィンランド語は語尾の多様な変化で細かいことを言おうとする言語なんですね。

動詞の原形 nukkua(眠る)
①一人称単数形 nukun
②受動態現在形 nukutaan
③受動態過去形 nukuttiin →ここまで作ってから語尾を変化
④受動態過去分詞 nukuttu
⑤受動態現在分詞 nukuttava
⑥受動態条件法現在形 nukuttaisiin
⑦受動態第二不定詞内格 nukuttaessa
⑧受動態可能法現在形 nukuttaneen

受動態可能法「おそらく〜されるだろう」というのはどういうときに使うんだろう、と思いますが、参考書として使っている『フィンランド語文法ハンドブック』にはこんな例文が載っていました。

Ymmärrettäneen, mitä pääministeri tarkoittaa.
首相が何を意図しているのか、理解されるだろう。

ちなみに否定は“ei”と“en”を取った動詞で表されます。これも『フィンランド語文法ハンドブック』から。

Presidentin vastustusta ei odotettane.
大統領の反対はおそらく予期されていない。

受動態可能法には完了形もあって、これは可能法現在形で出てきた“lienee”と受動態過去分詞を使います。

受動態可能法現在形 nukuttaneen
受動態可能法完了時制 lienee nukuttu
受動態可能法完了時制の否定 ei liene nukuttu

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