新しい文法事項として「可能法」というのが出てきました。「おそらく〜だ」とか「〜かもしれない」といった意味を表します。これは基本的に書き言葉でしか使われないとのこと(例えば物語を朗読しているときなどには使われることも)です。断定を避けるという意味では、これまでに“ehkä”をはじめ、“kai”“valmaan”“luultavasti”“mahdollisesti”“kenties”“kai”などが使えました。口語(もちろん文章でも)ではこれらが用いられるということですね。
Ehkä hän on suomalainen.
あの人はたぶんフィンランド人です。
これが可能法ではこうなります。
Hän lienee suomalainen.
あの人はたぶんフィンランド人です。
“lienee”という見慣れない単語が出てきましたが、これは“olla”の可能法三人称単数の形。つまり可能法とは、動詞自身が断定を避ける「おそらく〜だ」という意味を持つんですね。“olla”はこのように変化します。
lienen | lienemme |
lienet | lienette |
lienee | lienevät |
否定はもちろんこうなります。
en liene | emme liene |
et liene | ette liene |
ei liene | eivät liene |
こうした特殊な変化をするのは“olla”だけで、ほかの動詞は過去分詞の“nut/nyt”の代わりに“ne”をつけ、さらに人称語尾がつく形です。
動詞 | 過去分詞 | 可能法 |
nukkua | nukkunut | nukkune+n,t,e,mme,tte,vAt |
syödä | syönyt | syöne+n,t,e,mme,tte,vAt |
tykätä | tykännyt | tykänne+n,t,e,mme,tte,vAt |
nousta | noussut | nousse+n,t,e,mme,tte,vAt |
ajatella | ajatellut | ajatelle+n,t,e,mme,tte,vAt |
mennä | mennyt | menne+n,t,e,mme,tte,vAt |
purra | purrut | purre+n,t,e,mme,tte,vAt |
haluta | halunnut | halunne+n,t,e,mme,tte,vAt |
häiritä | häirinnyt | häirinne+n,t,e,mme,tte,vAt |
kyetä | kyennyt | kyenne+n,t,e ,mme,tte,vAt |
kpt の変化もないので比較的楽ですが、例えば“ajatella”などは可能法現在形一人称単数の“ajatellen(おそらく考える)”と第二不定詞具格の“ajatellen(考えながら〜する)”がまったく同じ形になるので、文脈から判断する必要があります。
可能法には完了時制もあって、それは上掲の“olla”の可能法に動詞の過去分詞を組み合わせます。
lienen sanonut | lienemme sanoneet |
lienet sanonut | lienette sanoneet |
lienee sanonut | lienevät sanoneet |
複数では過去分詞も複数形になるので注意が必要です。
Oikealla olevan poika lienee eri mieltä kuin vasemmalla olevan poika.