インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

「ダサい」と「イケメン」に代わる定番の言葉

cakesで林伸次氏が「流行り言葉をなるべく使わない」というお話を書いておられました。「ダサい」「ヤバい」「超」「推し」……などなど、いま現在はすんなり伝わるのでつい飛びついてしまいがちな言葉も、時の流れの中で廃れていった先に読み返されるのは抵抗があるというご主旨。同感です。

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気軽なおしゃべりの場であれば、そういう言葉でいまの時代の気分を感じるのもいいのかも知れませんが、のちのち残りそうな文章にそうした言葉を使うのはとてもみっともないのではないかというご指摘ですね。文中に、数十年前に発売されたレコードのライナーノートが例示されているのですが、「ナウなヤングに人気の」はいまとなっては確かにつらいものがあります。むしろギャグのネタにさえなりそうなくらい滑稽です。

私も文章を書くときはもちろん、人と話すときにもできればそういうたぐいの言葉は使わないようにしたいなと思っています。冗談であえて使うことはありますけど、冒頭に書いたようにその表現に寄りかかって楽をしようとすると、どんどん言葉が痩せ細っていくような怖さがあるのです。「ヤバい」などそうした言葉の筆頭ですね。

そのほかに、個人的にとても使えないと思っているのは「めっちゃ」や「めちゃめちゃ」です。関西発祥とおぼしきこの言葉は、最近では全国区の言葉になったようですが、私は抵抗があります。語学の先生方でも、お若い方は「超」「ヤバい」などとともによく使ってらっしゃいますが。一度その使用頻度に耐えかねて、意見をしてみようと思ったこともあるのですが、結局やめました。ひとつはパワハラみたいになりそうだったのと、もうひとつは、言葉は常に移り変わって行くものなので、自分のいまの感覚が絶対に正しいとはいえないよな、と思ったからです。

実際、「超」や「ヤバい」「ダサい」などは、使われ始めてからかなりの時間が経っていますが、「ナウなヤング」のように廃れてはいません。ひょっとすると「めっちゃ」や「めちゃめちゃ」も息長く残っていく言葉になるかもしれません。

林氏は文章の最後で「『ダサい』と『イケメン』に代わる定番言葉、もし知っていたら教えてください」と書かれています。う〜ん、けっこう難しいですが、私だったら「ダサい」はやっぱり「野暮」とか「垢抜けない」、「イケメン」は林氏が「ちょっと古い」とおっしゃっている「ハンサム」を使うかなあ。

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