インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

顔面神経麻痺の科学に基づいた治療法を支援したい

先日ドーナツを食べていたら、右側の奥歯の詰め物が取れてしまいました。煎餅のような堅いものや、ガムのような粘着性のあるものでもないのに。二年前にも取れて詰め直してもらった歯科医に行ったら「よく取れますね。右側の奥歯で歯ぎしりをするクセがあるのかな」と言われました。え〜と、多分そうじゃないんですよね。

私は顔の左側に若干の麻痺があります。数年前に発症したベル麻痺(顔面神経麻痺)の後遺症で、普通にしていればまったく気づかれませんが、笑うと左側だけ口角が上がらないので、引きつったような笑顔になります。また口をすぼめにくいので、例えばストローで飲むとか、麺類をすするといったことがやりにくいです。そして、右側の奥歯の詰め物がよく取れるのも、無意識のうちに動かしやすい右側でばかり噛むクセがついているからだと思います。

ベル麻痺を発症したときは、ちょうど義父と同居していた頃でした。この麻痺は単純ヘルペスウイルスが原因とされていて、特に疲労やストレスがたまっている時に発症しやすいといわれています。自分なりに頑張ってはいたのですが、やはりかなりエキセントリックだった義父との同居は大きなストレスだったんですね。

最初、左目が充血して、そのあとなんだかゴロゴロするような違和感を覚えていました。目薬など差しながら様子を見ていたのですが、数日のうちにかなりひどい麻痺に陥りました。涙が止まらず、ものが食べられず、顔の片方が変形しているのです。その時点でネットを検索してようやく病院を受診したのですが、知識がないために最初は脳梗塞を疑って脳神経外科を受診し、「いや、あなたは耳鼻咽喉科に行くべきです」と言われたくらい対応が後手に回りました。

f:id:QianChong:20210622153308p:plain
https://www.irasutoya.com/2018/03/fast_43.html

そしてあとから知ったのですが、この病気はとにかく初動が大切で、発症したら一刻も早くステロイド薬を使うのがカギになります。処置が遅れるほど予後が思わしくなくなるのだとか。いや、本当に一生の不覚でした。

qianchong.hatenablog.com
qianchong.hatenablog.com
qianchong.hatenablog.com

その顔面神経麻痺についての記事が、今朝の東京新聞に載っていました。発症後すぐに使うべきステロイド薬の投与量基準について、欧米ではガイドラインが定められているのに対して日本では「経験に基づいた医師の裁量に委ねられているのが現状」なのだそう。そのために治療効果や副作用などを検証するための研究が計画されていて、クラウドファウンディングが行われていると紹介されていました。

academist-cf.com

記事にも書かれていましたが、顔面神経麻痺は「命に関わる病気ではないが、人前に出るのが嫌になるなど患者の人生を変えることもある」、なかなかキツい疾患です。身体より、心に深い傷を残すんですね。私の場合は、自然な笑顔が作れなくなったために、一時期はずいぶん鬱屈した気持ちを抱えていました。いまはもうそんなに気にならなくなりましたけど。

この研究結果が、今後の顔面麻痺治療に活かされてほしいという願いを込めて、私もこのクラウドファウンディングに寄付をしてきました。そしてみなさま、顔面に少しでも異変を感じたら、とにかく一刻も早く耳鼻咽喉科の病院に行ってください。家事も仕事も、とにかくすべてを後回しにして、可及的速やかに! ですよ。