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ラムゼイ・ハント症候群

カナダの歌手、ジャスティン・ビーバー氏が「ラムゼイ・ハント症候群」でしばらく休養するというニュースを見ました。

news.yahoo.co.jp

ラムゼイ・ハント症候群は、いわゆる「顔面麻痺」というやつで、顔の筋肉を動かしている神経がウイルスによって機能しなくなる症状です。ウイルスといっても人からその場で感染するというものではなく、幼少時にかかった水痘(水疱瘡)や帯状疱疹ウイルスが「休眠」状態にあったものが、何らかの原因で再活性化するというもの。私も八年ほど前にこの顔面麻痺を発症したことがあるので、人ごととは思えません。

私が発症した顔面麻痺は「ベル麻痺」という種類ですが、ラムゼイ・ハント症候群とかなりよく似ています。初診時には「ひょっとするとラムゼイ・ハント症候群かもしれない」と医師に告げられました。いずれもなぜか顔の片側だけが麻痺して動かなくなる疾患です。ウイルスが再活性化するのは、疲れやストレスが蓄積して身体が弱っているときが多いそうです。

発症したら可及的速やかに治療を受けるべきで、早期に適切な治療を受ければ予後(病気を発症した後の状況)はかなり良いと言われています。私はかなり対応が遅れたために、八年経ったいいまでもリハビリのかいなく麻痺が残っており、顔の片側はほぼ笑顔を作ることができません。ちょうどネットに公開されていたジャスティン・ビーバー氏の動画と似たような状態です。

顔面麻痺は基本的には、命に関わるというほどの病気ではありません。ただ、笑顔を作れなくなるというのは心理的にけっこう重いものがあります。ジャスティン・ビーバー氏のようなエンターテイナーだったらなおさらでしょう。でもこの病気はお若いほど予後も良い傾向があるとのこと。治療とリハビリで、発症以前とほとんど変わらない状態にまで回復されるよう祈っています。

ちなみに、上述したように顔面麻痺はとにかく早期にステロイド剤を使った専門医の治療を受けることがなによりも大切です。以前にもブログで書きましたが、神経系の症状ではあるもののかかるべきは耳鼻咽喉科です(私は最初神経内科にかかり、これで時間をかなりロスしました)。

また、私自身の経験としては、最初は「目にゴミが入っているような感じが抜けない」「片眼だけが充血している」といった症状から始まりました。誰にでも発症する可能性がある顔面麻痺、もし少しでもその疑いがあった場合、仕事もプライベートもとにかく予定は繰り延べて、耳鼻咽喉科の専門医にかかってください。大げさではなく、それこそ一分一秒を争うつもりで。


https://www.irasutoya.com/2018/03/fast_43.html